第34章 呪いの器(三成君)
「ありがとう、家康。
自分じゃ見えないところだから時々様子を見てもらえる?」
家康「わかった。薬ができたら届けるから」
「ごめんね、家康だって忙しいのに」
家康「何言ってんの。あんたが具合悪いと、うちの参謀が使い物にならなくなるから世話してるんでしょ」
「ふふ、いつもありがとう」
家康「あんた…三成に似てきたんじゃない?
じゃあ俺は帰る」
「似てるだなんて照れちゃうな。へへ」
家康がうわ…と迷惑そうな顔して自室に戻っていった。
天邪鬼な言い方をするけど薬が効かずに苦しんでいた時は一生懸命お薬を処方してくれた。
感謝しながら、これまた家康の薬湯を一口飲んだ。
生薬の香りがプンプンして鼻が曲がりそうだけど『これを飲めばもっと元気になれる』と気合を入れて飲み干した。
思っていた以上に周囲に心配をかけてしまったから今の体調をなんとしても維持したい。
(もう私は大丈夫。気がかりは三成君と千代姫だ。
呪いの器を作った犯人が早くわかるといいのに…)
天邪鬼を発揮して帰っていったその人がポーカーフェイスだということすっかり忘れ、私は遠い地に居る二人を案じた。