第34章 呪いの器(三成君)
(第三者目線)
舞の簪が呪いの品だと判明して1週間ほどたったある日のこと…
光秀達は呪いの器が作られた場所を探し歩き、山奥の古い窯にたどり着いた。
以前は職人が陶器を焼いていただろう窯はいつから使われなくなっていたのか不明だ。
とうに忘れ去られ朽ちている窯だったが、比較的新しい痕跡が残されていた。
無論窯は使えないので陶器を焼いた痕ではない。焼き上がった作品を取り出して並べる石台に、おびただしい数の動物の骨が放置されていたのだ。
九兵衛「ようやく見つけましたね」
呪いの器が造られたのは1年以上前。
証拠は残っていないだろうと諦め半分で探した末だった。
1か所に大量に集まっている骨の山。動物達が自然死ではないのは一目瞭然だ。
たとえ大型の捕食動物がここを寝床にしていたとしても、なわばりを示すものが何も見当たらない。
九兵衛「フンや爪痕といったなわばり痕がないですし、これは人の手によるものですね。
呪いの器はここで作られたとみて間違いないかと」
狩人や木こりが動物を掴まえてここで調理したにしても骨の数が多い。
肉が腐った形跡もあり、食用として掴まえたにしては肉の処理がずさんだった。
動物を掴まえておきながら食べない。
目的は50という数と呪いの器を漬ける血だと考えれば辻褄が合う。
光秀「そのようだな。しかしここまで来る道は険しい。
慎ましやかに育った千代姫や義母がここに来るのは難しい、となるとやはり人を使っただろうな。
それか犯人は男で、自ら呪いの器を作ったか。今のところまだ絞り切れていいないが…」
九兵衛「まあ、女だてらに実行できたなら褒めてさしあげたいですがね」
光秀も九兵衛も、犯人が女だとしたら直接手をくだしていないだろうと最初から予測を立てていた。
箱入り娘が獣を50集めるだけでも一苦労だろうし、それを惨殺して血を絞る作業は余程の精神力が無ければ無理だからだ。
金を渡して依頼したと考えていい。
そして人を介してなされたことは証拠が残りやすいのが常だ。