第33章 歪な愛は回る(謙信様)続編配信記念作品
謙信「あれは…過ちだった。舞を愛するあまり狂気に溺れ、舞にも皆の者にも迷惑をかけた」
「そうですよ。あれを教訓に『謙信様の幸せは私の幸せ』だと思ってください。
謙信様が苦しんで我慢して私を愛しても意味がないんです。
謙信様が私と一緒に居て、ああ幸せだなって思ってくだれば私は幸せなんです」
指先にサラサラと当たる髪が気持ちよくていつまでだって触っていられそうだ。
謙信様も気持ち良さそうに目を瞑っている。
謙信「俺の幸せが舞の幸せか…」
「……今更気づいたなんて言ったら怒りますからね?
私達は一心同体です。謙信様を悲しませるようなことはしません。謙信様が悲しめば私は悲しいから。
夢を避けられなかった時、どんな姿になっても、どんな手を使ってでもあなたのところに生還します。
だから……私を信じて待っていてください」
謙信「俺は今の舞の姿がいい。
か弱いお前がもがき苦しみ、手段を選ばずに行動しなくてもいいように、俺のすべてを投げうってでも守りたい。
……ただ待つのは嫌だ」
両腕が伸びてきて身体を引き寄せられた。寝ている謙信様の上に覆いかぶさるような体勢になって頬に熱が集中した。
謙信「こんなに愛しい舞に何かあったら、憤怒のままに相手を八つ裂きにするだろう…。それは間違いない」
無暗やたらに人を殺してもらいたくないと常日頃言っているのに、謙信様ときたら私のこととなると盲目になる。
「では私は死なないように気をつけるのと、危害を加えられる前に敵前逃走する術を手に入れなくてはいけませんね」
着物と茶器の件が終わったら佐助君のところにかんしゃく玉とまきびしを貰いにいこう。
それと咄嗟に動けるような心構えを聞いて…、そこまで考えていた私の腰に意図を持った手が回された。
「ん…」
このままお話しながら寝る流れのはず。それなのにお尻を撫でさするこの手の動きは何だろう。