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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第33章 歪な愛は回る(謙信様)続編配信記念作品


箪笥に入っている着物の中に葡萄の柄は………ある。もう秋だしそろそろ出して着ようと思っていたところだった。

謙信様の夢は現実味がありすぎてゾッとさせられることもしょっちゅうだ。


「では明日、箪笥から葡萄柄の着物を全部出して蔵に仕舞ってもらいましょう。
 それと一緒に厨に行って、夢に出てきた茶器がないか確かめましょうか」

謙信「俺のくだらぬ夢につき合わせてすまないな」


少し落ち着きを取り戻した謙信様に横になってもらった。
布団をかけて胸のあたりを一定のリズムでぽんぽんと叩く。さながら子供を寝かしつける母親のようだ。


「くだらないなんて思っていないです。夢のとおりにならないように努めているから私は死なずに済んでいるかもしれないんですから。
 予知とか…、新たに目覚めた能力かもしれませんよ」

謙信「それはわからん。しかし次から次と…終わりが見えない。
 いつか俺の夢が現実を追い越してしまった時、夢の状況を避けることができずに舞を死なせてしまうかもしれない」


トントンと叩いていた左手を強く握られた。謙信様の苦悩に満ちた顔が暗がりでもわかった。

封じられた左手のかわりに右手で謙信様の頭をなでた。ゆっくりゆっくり…。


「何かあっても生きる努力をしますから、私が危険にさらされたら必ず助けにきてください。例え意識を失くしていても待っていますから。
 謙信様なら絶対私を助けられます。だってこうして傍にいるだけで癒しの効果があるんですもの。ストレス緩和、体温の上昇による血流の改善、女性ホルモンの正常化、安眠効果だってあります。
 だから何かあっても余計なことは考えず、私の回復のために傍に居てください」


ストレスとかホルモンとか、理解が追い付かない謙信様が寝ながら首を傾げたのを見て、おかしかった。


謙信「余計なこととは?」

「いつかのように私のために天下統一するとか暴走しないでくださいってことです。いいですか?何事も話し合って助け合っていきましょう。
 相手がわからないならわかるまで話し合えばいいんですし、1人でできないことは2人でやればいいんです」


過去のできごとを引っぱり出され、謙信様は今夜初めて笑みをこぼした。


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