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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第33章 歪な愛は回る(謙信様)続編配信記念作品


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謙信「誰がやったっ!」

「っ、謙信様!?」


一緒に寝ていたところ、謙信様が突然叫んで飛び起きた。私もつられて飛び起きて取り乱している謙信様の背中をさすった。


謙信「舞、舞…、は……居るな。
 生きてるのかっ…」

「はい、生きていますよ。心配しなくていいです」

謙信「また夢だったのか……今度こそ現実かと…舞、俺を置いていくな」


夢と割り切れないようで、謙信様はすっかり冷静さを失っていた。逞しい肩を上下に揺らし、喘ぐように息をしながら謙信様は私の手を握った。


「ええ。絶対置いていきませんよ」

謙信「必ずだぞ。舞が居なければ俺は生きていけない。俺を一人にしないでくれ」


冷や汗をかきながら謙信様は私を腕の中にとじ込めた。

白昼夢は1度で終わらなかった。それどころか最近はこんな風に悪夢にうなされる日が増えてきた。

どれも私が殺される悪夢だというからたまらない。

当の私といえば何事もなく過ごしているから、謙信様の悪夢とのギャップにだんだん不安を覚えていた。

何事もない平穏な日々が近々終わるのではないか。謙信様が見ているのは予知夢ではないかという不安だ。
しかし一番不安をかきたてられているのは謙信様だ。

可能な限り私を傍に置き、針子の仕事も自分の執務机の隣でさせるようにと厳命した。

お風呂は必ず謙信様と一緒、トイレも必ず護衛が付いてきた。外出禁止、物のやり取りや口をきく相手まで限定したのは、謙信様の不安の現れといって間違いなかった。


「それで今夜はどんな夢だったのですか?」


聞いて気分のいい内容じゃなかったけれど、私は夢の話を聞くようにしていた。

1人で抱え込んで欲しくないし、夢と同じ状況にならないよう心掛けることで謙信様に安心してもらうためでもあった。


謙信「この部屋でお前が毒を盛られて倒れていた。傍には見慣れない湯飲みが転がり、着物を着ていたから朝から湯浴み前の出来事だ」

「どんな着物を着ていましたか?」


謙信様は髪に手を突っ込んでクシャっと握り記憶をたどっている。


謙信「葡萄の柄だったように思う…」


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