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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第32章 私と恋愛する気ありますか?(謙信様)


謙信「何があったか知らんが寝間着をそんな着方をして、髪も拭いていないではないか。
 まったく子供でもあるまいに何をしている?」

「で、でも……湯殿で……」

謙信「湯殿でなにかあったのか?……っ!?」


私を落ち着かせようと肩に乗った手が急に強張った。
そのまま肩の骨がミシミシ音を立てそうなくらい強く掴まれて、私は顔をしかめた。

鬼気迫った謙信様の表情は息をのむ恐ろしさで、肩の痛みを訴える雰囲気じゃない。


謙信「この髪油は舞のものか」

「だ、だから、湯殿で…って、どうしよう、あの人、誰…」


謙信様も怖いけどお化けも怖くて、口が上手く動いてくれない。
気がはやって何も説明できず、もどかしいといったらない。


謙信「埒があかないな。わかった、まずは落ち着け。
 俺がここにいれば怖いことはひとつもない」


謙信様は私の手を握ると、空いている手で背中をポンポンと叩いてくれた。


「謙信様……私、湯殿で…」

謙信「湯殿で誰かと会って何かがあったのだな。
 もう少し落ち着いたら聞かせてくれ。今はまだいい…」

「は…はい」


低く落ち着いた声が耳に響き、大きな手の温もりに次第に緊張が取れた頃、謙信様の手が止まった。


謙信「そろそろ大丈夫か?」


心臓はまだドキドキしているけれど、口から出てきそうな激しい鼓動は治まっていた。

説明しようとしてもう一度背後を振り返った。
女中さんは突然消えたから、いつ背後に立たれるかと不安で仕方ない。


謙信「さっきからしきりに背後を気にしているな。
 仕方ない、舞の後ろを守ってやる」


形の良い眉が動き、謙信様は私の背後に回って囲うように座った。両脇に謙信様の足が来て、背後から回った両手が目の前で組まれた。

その体勢になってまたしても謙信様が息をのんだ。


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