第4章 姫がいなくなった(兼続さん)
ところが…
兼続「舞は荷物を抱えて大変重たくなっています。
謙信様に抱かせるのはどうかと……」
赤みを帯びていた頬はさあっと白くなった。
「重たいなんて…………ひどい。兼続さん…。
女性に言ってはいけないワードランキング上位の言葉ですよ」
謙信「兼続、俺ならばそのくらい問題ない。さあ、舞、おいで」
「うぅ、謙信様、優しい……」
謙信の方へ行こうとする舞をまたしても兼続が妨害する。
兼続「駄目です。本当に重いのでっ」
兼続は荷物ごと舞を抱きしめ、舞は『本当に重い』というワードにショックを受けている。
舞を渡そうとしないばかりか、禁句を2度も口にした家臣に、謙信の眼光が鋭くなった。
謙信「俺の腕は飾りではない。大丈夫だと言っている」
兼続「いえ、大事なお身体ですので」
謙信「いいから早くよこせ」
兼続「駄目です」
「あ、あのお二人とも仲良くしてください…あ!ハムスターが一匹いないっ!?」
謙信「なに!?」
兼続「確かなのか?」
箱の中には小さいロボロフスキーが手をくるくるさせて顔を洗っている。
少し大きい身体のゴールデンハムスターがいない。
「た、大変っ。おーい、出ておいで~」
夜の春日山に、ハムスターを探す舞の声が響き、それを聞きつけた者達が集まってきた。