• テキストサイズ

ハイキュー 短編夢小説集

第4章 月島蛍夢 ちよこれいと


「嫌い!やっぱり蛍ちゃんの一人勝ちじゃん!」

 膝を抱えながら拗ねると階段を降りながら、月島は呆れ顔で言う。

「駆け引き下手にも程があるデショ。てかチョキに拘りすぎ」
「ちよこれいと、って言うのが好きなんだもんっ」

 不貞腐れ顔で答えていると、月島は三段下で止まり言う。

「高さはこれ位かな」
「?」

 なんの事だろうと月島の方を見ると立ち上がらせられた。そうしたら何時も見上げている月島と同じ目線の高さになったのだ。
 じっと見つめられると恥ずかしくなり、目を逸らしてボソッと言う。

「…………蛍ちゃんは何時でも卑怯だ」
「はいはい」

 カサカサっと包み紙を広げ、目の前で月島がチョコレートを口に入れた。
 ほら、また目の前で見せ付けると思っていると、クイッと両手を引っ張られた。
 バランスを崩して前のめりになるのと同時に、月島の唇と唇が重なり、口内にチョコレートの甘さが広がりコロンと入ってきた。
 チョコレートを口移しされ、真っ赤な顔をしていると、月島は涼しそうな顔で階段を先に降りて行っていた。

「ほら、帰るよ」
「~~!」

 口の中に入るチョコレートを飲み飲みながら、耳まで赤くして言う。

「蛍ちゃんのバカっ!」

 馬鹿と言われ、振り返った月島は言う。

「好きなんでしょ?ちよこれいと」
「それと今のは全然別の話だもん!」
「はいはい、苦情は家で好きなだけ言えば?」

 ゆっくりとした歩幅だが、先に行く月島の後を追い掛けて行くと手を握られて言われた。

「……チョコレート、まだ僕の部屋にあるから」
「…………っ !? 」

 その一言の意味を理解して、顔が茹でダコの様に真っ赤になってしまった。
 が、掴まれた手を振り払う事をしなかったし、チラッと見上げた月島の耳も赤くなっているのに気が付く。
 そっと自分の唇に触れ、まだ甘い味が残っているのを確認して小さく呟いた。

「…………ちよこれいと、好き」
(2021,5,5 飛原櫻)
/ 39ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp