第5章 *孤爪研磨夢 無色少女
男の子は外で遊ぶモノだと誰が決めたのか。
そんなのは個々の性格であり、性別で一纏めにされたらたまったものではない。
「研磨、外で遊ばないのか?」
「遊ばない」
父親の言葉に即答して、買ってもらったゲームに視線を戻す。
俺は外で泥だらけになって遊ぶよりも、室内で静かにゲームをやっているのが好きな子供だった。
親も余りにもそのゲーム好きに困り果ててしまっていた。
かと言って与えたばかりのゲームを取り上げるのもおかしな話であり、お手上げ状態になっていたらしい。
そんなある日、母親が誰かと楽しそうに話をしていて、数日後に家に見知らぬ女性と女の子が来た。
話によると女性は母親の高校時代の親友で、旦那の転勤で数年ぶりにこの地に帰ってきた、らしい。
そして、久々の再会、となった。
「研磨。おばちゃんはね、お母さんのお友達でね、この子はおばちゃんの娘ちゃんで研磨の一歳下なんだって」
「そう……」
母親の手を握って離さないその姿を、目視して認識する。
俺の一つ下と言う事は四歳と言う事になる。
「引っ越してきたばかりだから、お友達もいないし、研磨お兄ちゃんだから仲良くしてあげてね」
母親の一言に眉間に皺を寄せた。
無色少女
「けーんーちゃーん!」
「あぁ、来たんだ」
「うん!研ちゃんはまた新しいゲーム?」
一つ下の幼馴染である彩香と出会ってから二年の歳月が過ぎた。
彩香は俺と違って人見知りが激しい訳ではなく、比較的スムーズに新しい環境に慣れていった。
ただ、彩香にはこれと言って何か興味を持つタイプではなく、周りがやっている事をやる、と言う無趣味タイプだった。
「新しいゲーム面白い?」
「うん、彩香もやる?」
「やる!」
彩香は俺のゲーム趣味の最初の理解者だった。
母親達が雑談に花を咲かせいる間は、俺の部屋でゲームをして過ごし、出掛け先でゲームソフトを物色しているのにも、付き合ってくれていた。
ただ、彩香はゲームが好き、と言う訳では無いので俺がやらない限りはやる事がない。
そして、彩香の家は近所では無く、二つ区が離れている事から、会うのは数ヶ月に一回程度。
会う度に俺が新しいゲームをやっていて、それを楽しそうにプレイしている。
まぁ、それで俺も良かったので彩香とは外で遊ぶ事もなく、のんびりと過ごしていた。