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ハイキュー 短編夢小説集

第13章 優しい君へお礼を籠めて1(2015/12/5 赤葦誕生日夢)


 優しく告げる言葉に優はなんとか首を立てに振り、震える手て紙袋を差し出しながらに言う。

「あの……ずっとシャープペンと消しゴムのお礼をしたくて……」
「わざわざ買ってくれたのですか?」
「返すの遅くなり過ぎて申し訳なくて……」

 消え入りそうな声で告げると赤葦はそっと紙袋を受け取り笑顔で言う。

「ありがとうございます。明日から使わせてもらいますね」

 ふわっと笑う赤葦の気遣いに耳まで真っ赤にしながら優は言う。

「あの……今日赤葦君がお誕生日だって聞いて……」
「ああ、そうですね。木兎さん……バレー部の先輩が今から盛大に祝うって騒いでます」

 耳まで真っ赤にして俯き加減の優の姿を見て赤葦は納得した様子になった。

「もしかしてこれ誕生日プレゼントとしても、ですか?」
「……う、うん」
「それでは尚更大事に使わせてもらいます」

 そんな赤葦の言葉に反射的に出そうになった言葉が優には合ったのだけれどそれを声に出せない。――――本当に渡したいプレゼントは…………。
 今を逃したらもう次はない……勇気を出して今だけでいいから変わりたい。

「あっ……赤葦君っ!」
「はい」

 ぎゅっと鞄を強く握り締めて告げた。

「……それが誕生日プレゼントなのは本当なの。でも…………」
「でも?」

 ただのクラスメイトが渡していいのだろうか。迷惑がられないだろうか。恥ずかしさと恐怖で自然と涙目になってしまうのを必死に堪えて、駄目元だと優は鞄の中からもう一つ袋を取り出し言った。

「た、誕生日、おめでとうございます!後……あの時は本当にありがとうございました!」

 プルプルと震える手で差し出された袋を赤葦はそっと受け取る。その触り心地から布製の物である事が理解出来た。

「あ、赤葦君の趣味何も知らないから迷惑なだけかもしれないけど……」
「そんな事ありませんよ。凄く嬉しいです。開けてもいいですか?」

 赤葦の言葉にブンブンと音が鳴るくらいに振ると袋の中身を見て赤葦は言った。

「手袋……ですね。レザーなんて高くなかったですか?」
「だ、大丈夫!気を使わせる様な高価な物は選んでないからっ」

 渡したかった物を両方無事に渡せた達成感で、優の緊張は完全に解れていた。本来の姿とは言えないがガチガチに固まっている様子はもうない。
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