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ハイキュー 短編夢小説集

第7章 *及川徹&岩泉一夢 恋愛相談箱 両片思い


 スパンと即答すると、及川は悔しそうな顔で言うのだ。

「田嶋ちゃん女の子なんだから、岩ちゃん一人に運ばせればいいじゃん!」
「いや、私の後輩だから」

 田嶋の言葉は正論過ぎてぐうの音も出ない。
 そこに畳み掛ける様に言うのだ。

「そもそも私は『荷物を運べない』様な女子じゃないし」
「そう言う卑下良くないと思いますぅー!」
「卑下じゃなくて事実」

 即答され、言葉に詰まっている及川の姿を田嶋は本気で不思議そうに見ながら、時計に目をやり言った。

「はじめ、付き合ってくれてありがとう。私部活の用あるから」
「おう、気にするなっ」

 足早に去っていく姿に手を振ってから、岩泉は及川に言う。

「ワンセットにされるから、休み時間まで俺の近くにいるな」
「一緒にいるのも名前呼びされるのも、岩ちゃんばっかりで狡いぃー!」
「うるせぇぞ、クソ川」

 騒ぐ及川に一発、岩泉は蹴りを入れて歩き出す。
 ここまで岩泉がドライな反応するのには、実は理由があるのだが……。




「素直になれないんだけど、どうしたらいいっ !? 」

 放課後、用事を済ませた所、田嶋と鉢合わせたので歩いているとそう言われた。

「女の子扱いとか慣れてないし、そもそも及川の隣は可愛い子で溢れ返ってて私みたいなのは、何処をどう見ても運動部の部長繋がりにしかならないっ!」
「そーだな」

 確かに及川と田嶋が一緒に並んでいると、絵にはなるが田嶋が制服でなかったら、うっかり男二人に見えなく無い。
 女子に人気の二人が並んだら絵面が良さそうだなぁ、と岩泉は青空を見ながら思っていた。
 そう、岩泉がこの二人に関する恋愛事情を真面目に相手にしない理由はこれだった。


 及川も田嶋も互いに好きな癖に、相手の気持ちにまるで気が付かない『両片思い』をしているのだ。


 で、それを二人とも何故か岩泉に相談してくる。
 岩泉は鎹になったつもりはないし、なるつもりもない。
 そもそも何が悲しくて、付き合い長い二人の橋渡しにならなければならないのか。
 似た者同士なのだし、さっさと付き合うなりなんなりしろと思う。
 が、それよりも岩泉は言いたい事がある。

「お前ら一々俺に言うな!面倒くせぇ!」

 鎹にならない限り、岩泉一の恋愛相談箱が終わらない事を、岩泉が気が付くのは三ヶ月後となる。
(2021,4,29 飛原櫻)
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