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ハイキュー 短編夢小説集

第6章 花巻貴大夢 ボーイシュークリームガール


 ただ、余りにもシュークリームガールに勝てなくて悔しいのだ。
 勿論、花巻が先にシュークリームを手にしている事だってある。
 その上で、負けると悔しいのだ。

「…………はぁ」

 昨日食べられなかったシュークリームの事を思い出すと、余計に空腹になってしまい恋しさすら感じていた。





「今日こそシュークリーム!」

 ズンズンとコンビニに向かって歩いていると、丁度シュークリームガールが店内に入っていく姿が見えた。

「マズイっ!」

 慌てて店内に入り、デザートコーナーへ直行。
 シュークリームに手を伸ばしているのを見て、花巻はガッとシュークリームを掴んだ。
 が、それはほぼ同時であり二人で一つのシュークリームを掴んでいる状態だった。

「…………」
「…………」

 目が合い、沈黙が流れる。
 そしてその沈黙を破ったのは、二人ではない声だった。

「おかーさん、シュークリームなかったよー」

 二人の間に割り込む様に入ってきた幼稚園児位の男の子。
 陳列棚を見ながら言うので、互いに見合ってからスっとシュークリームを差し出して言った。

「「 どうぞ 」」

 シュークリームを受け取った少年は、嬉しそうに母親の所へと走っていってしまった。
 その姿を見ながら、花巻はシュークリームガールに声を掛けた。

「ラーメン好きか?」
「普通」
「近くに美味いラーメン屋あるから行くか?」
「行く」

 返事を聞き、花巻はシュークリームガールと共に珍道中へと向かっていく。
 シュークリームガールは口数が多くないのか、無言のまま花巻の後ろを着いてきている。
 チラッと見ると荷物の中に工具箱が合ったので、流石工業高校だと思いつつ、珍道中の暖簾を退けて中へと入った。

「ここの豚骨ラーメンマジ美味いから」
「へぇ」

 キョロキョロと店内を見ているので、チョイチョイとカウンター席に呼ぶ。
 すとん、とシュークリームガールが座ったのを見てメニュー表を渡して言う。

「チャーハンも餃子も美味いけど、女子はんなに食えないか」
「工業系だから力作業多いし、他の子よりは食べれると思う」
「じゃ餃子半分こでもするか。おっちゃーん!」

 ラーメンと餃子を注文し、残さず完食をし、満腹で満足した心でシュークリームガールと別れるのだった。


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