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ハイキュー 短編夢小説集

第6章 花巻貴大夢 ボーイシュークリームガール


「俺、最近好敵手(ライバル)が出来たんだ」
「そっか、おめでとさん」
「真面目な話してる所!」

 花巻の怒りに仕方ないと松川は顔を上げた。



ボーイシュークリームガール



「で?お相手さんは?」

 興味無さそうに聞いたが、花巻は握りこぶしを作り、思い出しながらに話してきた。

「制服は伊達工だと思う」
「へー」
「常に無駄の無い動きをしている」
「それは凄い」
「店に入ってからデザートコーナーまで一直線に来て」
「……ん?」
「陳列位置が変わっても、サッとシュークリームをレジに持って行くんだ」
「ストップ」

 花巻の話がバレー無関係である事を知り、松川は確認の意味を込めて話を止めた。
 興味無かったのだが、バレーの事ならば仕方ないと思っていたら、食べ物の話だった。
 言われた事を思い出し、松川は質問してみた。

「見た目どんな子?」
「見た目?そうだな……何時もハーフアップのポニーテールだった気がする」
「女子じゃん!バレーの話じゃなくてシュークリームの取り合いを、伊達工女子としてるのか !? 」
「そうだよ、あのコンビニ置いてる数少ないからすぐ無くなるのに、増やしてくんねーんだよ。で、その伊達工女子とラスワンのシュークリームの取り合いがよく起こってる」

 真面目そのモノで言い切る花巻に、松川はどうでもよくなってしまい、再び見ていた雑誌に目を落として言う。

「男だったらシュークリームの一つや二つ女子に譲れば良いだろ。はい、この話は終わりで」
「まっつんはこの争いがどれだけの事か分からないから、そんな事言えるんだ」
「一生分からんな」

 ぱらり、と雑誌を捲る松川に、花巻は納得出来ない顔をするしかなかった。





「部活帰りのシュークリーム程美味いのはない」

 部活帰り、最寄りのコンビニへ立ち寄った。
 このコンビニスイーツのシュークリームが最近の花巻のマイブームだった。
 まろやかなカスタードにカリカリのシュー生地。思い出しただけで涎が出てしまう逸品だ。

「ジャンプ買ってシュークリーム買って帰るか」

 店内に入り、人がいないのを見てゆっくりと店内を回れる、とカゴを取り雑誌コーナーに向かう。
 目的の雑誌を入れ、お茶を買っていこうとドリンクコーナーを見ていると、入店音が店内に響いた。
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