キミだけのヒーローに.......【ヒロアカ/爆豪勝己】
第4章 #1 邂逅
そう説明されたが、命は出久にぴったりくっついたまま離れる様子が無くて説得力がない。
俺の言いたい事を視線だけで理解したのか、あっけらかんとした笑い声で言われた。
「出久君とは此処に来るまでに仲良くなっただけ!勝己君とだってすぐに同じになれるわよ!」
本当なのかと疑っていたら母親が言う。
「子供達の交流もさせてあげたいし、何時までも玄関先は申し訳ないしあがってよ」
「爆豪さん、いいの?」
「勿論勿論!女の子の友達いなかったし、丁度いいじゃない!」
また俺達を置き去りに親達の会話に花が咲いていく。
まぁ別に出久は赤ん坊の時からの幼馴染みだし、命を拒否する理由もないなと玄関の奥を顎で指してやる。
「かっちゃんの部屋で遊んでいいって!」
出久の言葉を聞き、命はやっと出久の後ろから隠れる事を止めたらしく、服の裾を掴むのは止めずに出てきた。
空色に毛先が緑色に染まるグラデーションの髪色を命はしていた。
父親の姿は見ていないから分からないけど、ツリ目な所もあり命は母親似なんだとぼんやりと思った。
「かっちゃんは僕の友達だし、命ちゃんもすぐに友達になれるよ!ねぇ、かっちゃん!」
勝手な事を言いやがって…………、と思いつつも初めての同じ歳の存在は命にとって未知の存在、に近いらしい。
仕方ない、と頭を搔いてからズイっと手を差し出してやった。
「ほら、部屋に入れてやるからさっさと来いよ」
俺の言葉に対し、確かに命は嬉しそうな表情をした。小さな子供が何かに対して初めて見た時の期待に満ちた表情。
部屋一つで何がそんなにも嬉しいのか。それを理解する事が出来るのは十数年後先の話になる。
◆
「ほら、命ちゃん!かっちゃんの部屋にもあるでしょ?オールマイト!」
人の部屋に入るなり、出久が勝手に話していた。ナンバーワンヒーローオールマイト。憧れない子供がいない位のスーパーヒーローだ。
俺も出久もオールマイトが好きであり、よく一緒にお菓子を買ったりしてオマケがオールマイトが出れば大喜びしている。
それだけ、知っていて部屋にグッズがあって当たり前、の存在だ。
「おーるまいと?」
が、命の反応はイマイチであった。
ゆっくりと首を傾げ、じっとオールマイトの人形を眺める。そして何度か首を傾げていた。