キミだけのヒーローに.......【ヒロアカ/爆豪勝己】
第4章 #1 邂逅
初めての出会いは三歳。
出久の母親と共に、俺の家にやってきて母親と話をしていた。
三歳の餓鬼には親の細かい話までは理解出来ない。
ただ、見知らぬ女性と出久の後ろに隠れる様にピッタリとくっ付いているその姿は、十年以上経っても忘れる事が出来ないのを、この時の俺は予想出来る訳がなかった。
「ウチの隣に引っ越してきた地殻さんなの。娘さんの命ちゃんが出久と勝己君と同じ歳でね」
楽しそうに話す母親達。
『命』と呼ばれているのが出久の後ろに隠れながら、俺を見ているコイツなんだと直ぐに理解した。
「かっちゃんあのね!」
「なんだよ?」
目を輝かせながら言い出した出久に尋ねると、本当に嬉しそうに楽しそうに言い始めたのだ。
「命ちゃん僕達と同じ幼稚園に入るんだよ!」
「ふーん」
興味無さそうに俺は答えた。実際興味がなかったのだから仕方が無い。
女だから、ではなく、出久の後ろから離れようとしない姿がなんとなくだが、気に入らなかったのだ。
「命ちゃん!この子がさっき話してたかっちゃんだよ!」
はち切れんばかりの笑顔で俺の事を紹介してくる。
出久の言葉を聞きながら、命は小さくまるで呟くかの様に口を開いた。
「……かっちゃ……ん?」
「そうだよ、かっちゃん!かっちゃんもオールマイトが大好きなんだ!」
ナンバーワンヒーロー、オールマイト。憧れない奴なんかいない位の平和の象徴である存在。
俺の目標。
オールマイトの名前を聞いても命は興味が薄いのか、反応はイマイチだった。
「今度命ちゃんにオールマイトの動画おかーさんにお願いして観せてあげるからね!」
一人目を輝かせながら言い続ける出久を横目に、命は興味津々の表情で俺を見てくる。
それはまるで、初めて他人を見る赤ん坊の様に見える反応だった。
「勝己君、だっけ?」
突然頭上から聞こえてきた声に顔をあげると、命の母親と思われる女性が俺を見て言う。
空色の髪の毛は短く切り揃えられ、後ろ姿だけを見たら男に思える位、ボーイッシュな髪型。
スっと切れ長のツリ目をしていて、俺や出久の母親よりも背が高く、格好良いの一言がぴったりだった。
「ごめんね、この子今まで同じ歳の子と会った事がなくて、出久君と勝己君が初めてだから緊張してるみたいなのよ」