キミだけのヒーローに.......【ヒロアカ/爆豪勝己】
第7章 #4 父母
「……よく見つけられたな」
カゴの奥底の分からない位置にあったにも関わらず、命には見えていたのだから相変わらず運の良い奴だ。
案の定俺と出久に渡すと、命はじっとカゴの中を見つめていた。
「命ちゃんは何が欲しいのかな?」
オールマイトを手に入れて上機嫌の出久に尋ねられ、命はポツリと答えた。
「……おつきさま」
「お月様かぁ……お星様ならいっぱいあるんだけどなぁ」
「形の問題なんだろ。月なんかただの丸なんだし」
そう言いつつも命の為に俺と出久は月を探していた。でもやっぱり月は見つからないで、出てきたのは星ばかりだった。
その結果にシュンとしている命に、出久は慰める様にカゴの中に合った星の髪留めを取って言ってきた。
「今日はお星様にしよう!ほら、お月様の周りにはお星様もいっぱいあるから、お月様きっと喜んでくれるよ!」
ニコニコと笑いつつ、髪留めを袋から出し出久は言う。
「ほら!付けてあげるよ!」
そう言いながら命の横髪を留める。命の水色の髪色に星の黄色はとてもよく映えて似合っていた。
でも出久が付けたからか、髪の毛が寄っているし傾いていて見栄えが悪い。はぁ、と溜息を漏らしてから俺が改めて付け直してやった。
「凄い似合うよ、命ちゃん」
「ほんと?」
「うんっ」
出久に褒められたのが余程嬉しかったらしい。
命が珍しい位に嬉しそうな表情をしながら、グラスの氷を見つめていた。結露が滴り、氷が溶けてカランと鳴るのを見つめているとお子様ランチが三つ届いた。
やっと食べられるとフォークとスプーンを手に取り食べつつ、命が零したりしないかを見ている中、親達の会話内容がふと耳に入って来た。
「あら、そうなの !? 」
「そうそう、やっと三日間の休みが取れてねぇ〜」
「何時帰って来るの?」
「ゆっくり命と遊んであげたいみたいだから、来週の土日月」
来週。帰って来る。
その単語を聞きつつ、俺はケチャップで汚れている命の顔を拭いているのだった。
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