キミだけのヒーローに.......【ヒロアカ/爆豪勝己】
第7章 #4 父母
「おかーさん!かっちゃん!」
「ごめんなさいね、待たせちゃったかしら?」
背後から命と出久の母親の声がして振り返る。そこには出久の母親とその母親の手をしっかりと掴んでいる、出久と命がいた。
「緑谷さんごめんなさいね、命べったりで」
「私は全然平気よ。命ちゃんと一緒にいると娘が出来たみたいで、ついつい女親として嬉しく思っちゃうのよ〜」
「あー、分かる分かる。私も勝己と出久がいると息子が出来たみたいになるもの。私の性格こんなんだから、息子って良いって思っちゃってねぇ〜」
楽しそうに雑談を始めているのを見ていると、出久の母親の手から離れた命と出久が真っ直ぐに俺の所に来た。
「ったく、トイレ位一人で行けよな」
俺が呆れながらに言うと、出久は顔を赤くしながら必死な表情で訴えてきた。
「だっ……だって公園のトイレって外見えるし、時々でっかい虫が出るから怖いじゃん!僕、かっちゃんみたいに強くないんだし」
「出久とママと一緒」
出久のトイレに付き添ってきた出久の母親と、その二人にべったり離れたがらない命。見慣れた光景を見ていると、俺の母親も戻ってきた。
「ごめんなさい、電話長くなっちゃって」
俺の母親も戻ってきたので、やっと飯にありつけると持っていた木の棒を捨てた。
「かっちゃん」
出久が俺の隣へ来ると命もすぐに来た。本当に金魚のフンの様に二人は着いてくる。
出久のいる所には必ず着いていく、と言わんばかりの命だったけれど、ギュッと俺の手を掴んできた。
小さな命の手を握って頭を撫でてやる。ぐしゃぐしゃになる髪の毛を見ると、俺の頭の撫で方は乱暴なのだと思う。
でも命は嬉しそうに撫でられている。
「かっちゃんに頭撫でてもらえて良かったね」
「うん」
俺が頭を撫でてやるのを止めると、今度は出久が命の頭を撫でている。ゆっくりと優しく、ボサボサになった髪型を整えていく感じに。
俺達の頭の撫で方は互いの性格を本当に表していると、出久と命を見てぼんやりと考えていた。
「さーて、お昼食べに行こうか」
絶の言葉に、命の目が輝いた。そんな気がしていた。
◆
ガキを連れた大人達の井戸端会議にはファミレスはもってこいらしい。
お子様ランチに気を取られている子供を横目に、雑談に花を咲かせるのだから。