キミだけのヒーローに.......【ヒロアカ/爆豪勝己】
第7章 #4 父母
でも、絶が高校生になったら、と言ったら絶対に守ってくれるので俺はそれ以上は追求しなかった。
「命の奴が」
「ん?」
「命がお父さんに会いたいって俺に言ってきた」
地面に落ちていた木の枝で地面をぐりぐり掘りながら言うと、絶は言う。
「あの子、父親の事が大好きだからねぇ」
「命の父さんは何処にいるんだよ」
俺の問い掛けに絶は少し濁す様な言い方で返してきた。
「そこら辺に転々としてる」
「何だよそれ」
「仕事が忙しくてねぇー。一箇所には居られないんだよ」
あはは、と笑う絶の事を黙って見つめた。俺が何を訴えているのか分かってくれたのか、絶は俺の頭に手を乗せて言った。
「大地。地殻大地。それが命の父親の名前」
「……大地はなんの仕事してんだ」
「誰でも救ける仕事」
救ける仕事、と言われ一瞬ヒーローが頭を過ぎったが、親がヒーローだったら命がヒーローの事を分からない訳が無いと、それは無いと判断した。
「少しの間サボってた分のツケが来てて、休みが無いんだよね。自業自得だけどさ」
「大人の癖にサボってんのかよ」
仕事をサボるなんてろくでもない奴なのかと思っていると、絶の表情が何処と無く柔らかくなった気がした。
ぐしゃぐしゃと頭を撫でながら、絶は言った。
「命を護る為にね、人目に付く事が出来なかったんだ」
「命、危ねぇのか !? 」
護る、と言う単語に慌てて立ち上がると、絶はゆっくりと話してくれた。
「大丈夫、今は危なくないから。危なかったら此処には住めないでしょ?」
「……じゃあまた何時か危なくなったりするのか?」
ギュッと両手を握り締めながら絶を真っ直ぐ見ると、絶は目を逸らさずに真っ直ぐ見つめ返して答えた。
「それは分からない」
「 !! 」
「でも」
「……でも?」
「勝己と出久はヒーローになるんでしょ?じゃあヒーローになった二人に命の事を護ってもらえば、何の問題もないじゃない」
ニカッと笑いながら言う絶に、顔が真っ赤になった。
誰もが憧れる職業であるヒーローは、俺と出久の目標である。何時かナンバーワンヒーローオールマイトの様になるのが、夢。
「勝己も出久も強いヒーローになりそうだから、将来安泰だわー。期待してるわよ、未来のヒーロー」
ポスッと胸を叩かれ、どこか熱く感じる胸元をギュッと掴んだ。