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キミだけのヒーローに.......【ヒロアカ/爆豪勝己】

第7章 #4 父母


 地殻家は三人家族、らしい。


 父親と母親と命。


 母親の名前は地殻絶。俺の母親とはまた違ったタイプの、気の強い女性だった。
 なんて呼べば良いのか尋ねた事があり、本人は笑いながら名前を呼び捨てすれば良いんじゃないかと言い、俺は本当に絶と呼んでいた。
 長身ですらっとした細い体型。キリッとした切れ長の目が気の強さを物語っている人。
 モデルとかやっている、と言われたら信じそうになる位の雰囲気を持っていた。
 絶の職業は、分からない。専業主婦……には見えないが、かと言って働いている姿を見た事もない。
 ちょこちょこ旦那の手伝いがある、と不在になる位で。
 個性に付いては教えてくれないので、知らない。絶曰く、『使い方次第で危ない個性』であるらしい。
 一人娘である命の事を本当に大事にしていて、その命の友達である俺と出久の事も大事にしてくれていた。


 隠している事は多いのだが、裏表なく、俺達三人の事を平等に特別視しない絶の性格が俺は好きだった。


 俺の中での絶は『命の母親』であるのと同時に、『気の許せる近所の姉貴』的存在であった。

「絶達はここに引っ越してくる前は何処に住んでたんだよ」

 俺がそう尋ねる度に、絶は笑いながら本気なのか冗談なのか分からない声色で答えてくる。

「くっっっっそヤバい位の山ん中。霧が消えなくて年中真っ白な所」

 秘密が多くても絶は嘘は付かない。それに命が話していた事と一致するので、本当にそんな所で生活していたのだろう。

「なんでんな所に住んでたんだよ」

 続けて尋ねると絶は遠くを見る様な表情になり、言うのだ。

「色々と遭ってねぇ……人がいない所が良かったと言うか、安全だったと言うか」
「意味分かんねぇ」

 ブスっと不貞腐れると絶は乱暴に頭を撫でてくる。俺と出久にだけしてくる、優しいけれど乱暴な頭の撫で方。
 命にはしないので、俺達が男だからしてくるのだと思っている。

「まだまだガキの勝己には難しくて早いからねぇ。アンタがもっと大きくなったら教えてあげるよ」
「大きくなったら、ってどれ位だよ」

 尋ねる俺に絶は少し考えてから、笑顔で正直に答えてくれたのだった。

「そうだね、じゃあ勝己が高校生になったら、はどう?それ位の年齢になれば理解力も付くでしょ」

 高校生。今の俺には途方も無い程に先の話。
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