キミだけのヒーローに.......【ヒロアカ/爆豪勝己】
第6章 #3 果報
太陽光を浴び、キラキラ光り輝くそのカードについ興奮してしまう。
カード集めに興味がない親達も、俺達の様子を見てやっと理解したのか、カードを見て言われた。
「何?やっと欲しかったカード出たの?」
「命ちゃんが、ウルトラレアのオールマイト二枚も出してくれた!」
俺の母親に出久は大興奮したままに答えていた。
俺達からか命に視線を移すと、命は不思議そうに小首を傾げていた。
「は〜、無欲って本当に当てるから凄いわよねぇ。命ちゃんにお願いしたら宝くじでも当てそう」
俺の母親の言葉に、親達は冗談交じりに雑談を再開し出した。
親達から命に視線を戻すと、嬉しそうにカードを見ている出久にぴったりとくっ付いていた。
相変わらずの姿だが、カードには全く興味が無い様子だ。
そんな見慣れきった姿を確認してから、改めて手に握られているカードに視線を落とす。気を張ろうとしても、どうしても顔がニヤけてしまう。
嬉しいのだから当たり前だ。
「命ちゃんはオールマイトのカード無くても大丈夫?」
出久の言葉に命は何度も頷いていた。そして、さも当たり前の様に言い切った。
「出久とかっちゃんの」
俺達が喜んで欲しい。それが命の言いたい事だ。
命の頭を乱暴にガシガシと撫でてやると、本当に嬉しそうな表情を命はしていた。
(命がなんか喜ぶ物、探してやるか)
俺と出久の手でキラリと輝くカードを見ながら、俺はそんな事を考えていた。
◆
「わぁ、命ちゃんまた当たりだね!」
アイスが食べたくなったので、当たり付きアイスを買った。
そして、毎回の事ながら当たりを出せたのは命だけだった。
「それで当たり三本集まったんじゃねーか?」
俺が言うと、命と出久はお互いの顔を見ていた。そして、命のカバンの中から当たり棒を探すと二本出てきた。
当たり棒が三本になったので、これで次アイスを食べる時は棒と交換になる。
「今日はもう食べられないから、また今度だねっ」
「うん」
命は三本の当たり棒を大事そうにカバンの中にしまっていた。
そして、その時にカバンの中に絵本が入っているのが見えた。
「何だよ、命。お前絵本なんか持ってきたら重くなるだろ」
呆れながらに言ってやると、命はギュッとカバンを抱きしめながらに言うのだ。
「たからもの」