キミだけのヒーローに.......【ヒロアカ/爆豪勝己】
第5章 #2 歳月
一緒にいる頻度が高かったからか、気付いたら出久の母親をママと呼んでいた。
本人の中では親、と言う意味でのママではないらしい。
あくまでも自分の母親は一人だけで、懐いていてのママ呼びらしい。
命の世界観は難しく、おーちゃんも結局オールマイトの事ではなく、知り合いの事を言っていた。オールマイトみたいに筋肉質の人だから間違えたのだと、命の母親が説明してくれた。
「お手伝いする」
命の一言に母親はこれ以上ない位に喜んで、命の事を抱きしめて言う。
「も――命ちゃんは偉いわね!勝己の馬鹿に爪の垢飲ませたいわよ!」
「おばちゃんおむねくるしー」
命の言葉に母親は抱きしめる力を緩めながらに言っていた。
「ごめんごめん。あーでもやっぱり娘っていいなぁ〜。勝己に問題はないんだけど、やっぱり命ちゃん見てると娘欲しくなっちゃう」
「おばちゃん、娘欲しいの?」
小首を傾げながらに命が尋ねると、母親は手を振りながら言うのだ。
「ウチは勝己一人で十分だけどね。あーでも命ちゃんが勝己のお嫁ちゃんになってくれるならば、おばちゃん大歓迎なんだけど」
母親の言葉に俺は飲んでいた麦茶を吹き出してしまう。親特有の勝手な要望。巻き込まれる子供はたまったものではない。
「おい勝手な事を言うなよ !! 」
「何よ、アンタ一丁前に照れてる訳?口を開けば命ちゃん命ちゃんの癖に」
さらりと言う母親に、俺は耳まで赤くして怒鳴り否定する。
「それは命が俺がいなきゃ右も左も分からないかだろっ!」
「出久君だっているじゃん」
「二人とも口を開きゃかっちゃんかっちゃん俺を呼ぶんだよ !! 」
そう言いながら出久の方に視線を送ると、真っ青な顔で出久は言うのだ。
「か、かっちゃん……命ちゃんをお嫁さんにしちゃうの?」
「俺はそんな事言ってないだろ!」
オロオロとする出久につい怒鳴っていると、命は母親の服を引っ張りながら不思議そうに尋ねてきた。
「おばちゃん、お嫁さん、って?」
「あー……そうねぇ」
尋ねる命の頭を優しく撫でながら、母親は説明をしてやっていた。命に分かりやすく、すぐに理解出来る言い方で。
「命ちゃんのお父さんとお母さんみたいに、ずっと一緒にいる女の人の事を言うのよ。男の人はお婿さん、って言うの」
「ずっと一緒?」
「そう、ずっとよ」