【夢小説】バレー馬鹿は恋愛下手にも程がある【HQ/影山飛雄】
第4章 二話 彼女(予定)です
それは嫌なのだが、バボちゃんを手に入れてくる、と言われてしまい首を捻らせて悩んだ。
今日限りの縁にするか、バボちゃんを優先するか。
「バボ…………バボちゃんは、正直欲しいぃ」
つい、誘惑に負けてしまい、朔夜は言ってしまうのだった。
その言葉に影山の顔が輝いた気がしたが、朔夜にはスルーするしかなかった。
物欲に弱い自分が情けないと朔夜は思ったが、自分に正直なのだからどうする事も出来ない。
二次元オタク趣味を取り除くと、朔夜は女の子らしくぬいぐるみが好きである。
で、普段余り目にする事が無いぬいぐるみには興味がどうしても湧いてしまうのだった。
「…………疲れてきた」
はぁ、と大き過ぎる溜息を付くと影山は素早く控え室のベンチにタオルを引いて言う。
「座って下さい!」
「物理的じゃない、精神的に……あ――、物販でも見てこようかな……」
この空間から脱出する為の正当な理由は、もうトイレか買い物しか思い付かない。バレーボールには興味はないのだけれど、物販ブースがどうなってるのかは興味がある。
一人になりたいしなぁ、と朔夜は言った。
「お手洗いついでに物販見てくる」
「一緒に……」
「来んでええわ、目立つ」
ピシャリと言い切り、なんとか開放されたと朔夜は控え室を出ていけた。廊下を歩いているスタッフに一般客が行ける場所を教えてもらい、ロビーに出る事が出来た。
「はぁ〜……意外と人が多い」
今まで全く興味の欠片もなく、知識も無かったので知らなかったのだけれど、スポーツ会場は思った以上にファンの出入りが多いみたいで感嘆の声が出てしまった。
二次元オタクにとって、スポーツなんて最も縁遠いのでついついお上りさんみたいに辺りを見回してしまう。
自分は間違いなく場違いな人間なのだが、それが目立ったりしていないか気になってしまう。
流石にアニメイトの袋を持っていないし、オタク丸出しな見た目はしていないので大丈夫な筈、と自分に言い聞かせた。
「そだ、物販物販」
オタク本能でフラフラ〜っと物販ブースへ足を運ぶ。レプリカユニフォームとかが飾られている彼処がそうか、とひょっこりと覗き込んでみた。
タオルやらバックやら色々とあるんだなぁ、と眺めていたがそう言えば今日はどのチームの応援に来たのだろう?と首を傾げてしまった。