【夢小説】バレー馬鹿は恋愛下手にも程がある【HQ/影山飛雄】
第4章 二話 彼女(予定)です
バレーボールとやらにもパンフレットがあるのだろうか、と小首を傾げながら考えていると物販のスタッフに話し掛けられてしまった。
「何か探していますか?」
「んん……誘われて初めて来たから全然分からなくて……」
素直にそう告げると、持ってきているチケットを尋ねられた。チケットを見せて座席を確認してもらうと、笑顔で言われたのだ。
「シュヴァイデン アドラーズの座席ですね。招待してくれた方、誰のファンでした?」
誰のファン、と尋ねられファンじゃなくて選手本人なんだよなぁ、と思いながらに口に出してしまった。
「影山……飛雄?」
フルネームで覚えているのは影山一人だけ。後は苗字で牛島、が分かる程度でしかない。
影山の名前を告げると、レプリカユニフォームを出されながらに話をされる。
「影山選手ですね!期待の新人ですよ!」
ほう、そうなのか、と思いながらレプリカユニフォームの値段を見てピタッと止まった。
別に驚く程の高額ではない。財布の中身を見ても買えない事も無い。だがしかし……。
(オタクに五千円の出費!……この五千円があれはアニメイトで……)
頭の中でぐるぐると考えてしまうが、目の前にレプリカユニフォームを出されて説明されると断り辛い。
こんな事ならば適当にキーホルダーとかタオル選べは良かったと、朔夜は本気で後悔していた。
(ぐぬぬぬ……)
断りたいけど、断れない。五千円は望んでいないがチケット代だと、涙を飲んで腹を括った。
「……それ下さい」
「影山選手のレプリカユニフォーム一点ですね。サイズはどうしますか?」
「Mでお願いします」
痛い出費だと泣きたい気分で、欲しくもないレプリカユニフォームを購入してしまった。
支払って受け取ったレプリカユニフォームをどうしようかと、眺めていると背後から痛い程の視線に気が付き慌てて振り返った。
関係者以外立ち入り禁止、と立て札が立っている通路から、そっとこちらを見ている影山の姿を見つけてしまった。
バチッと目が合ってしまい、朔夜は目眩を感じずにいられない。
買い物している所を見られてしまった。距離はあるが、あの表情を見る限り、何を買っているのか分かっているのだろう。
ソワソワとしつつ、目を輝かせている姿に朔夜はぐったりとせずにはいられない。
(頭痛い……)