【夢小説】バレー馬鹿は恋愛下手にも程がある【HQ/影山飛雄】
第4章 二話 彼女(予定)です
「……………」
朔夜は目の前の建物を見上げながら、何故貴重な休日を犠牲にしているのだろう、と頭の中で嘆いていた。
バレー馬鹿は恋愛下手にも程がある
二話
彼女(予定)です
二日前の夜に突然出会った、影山飛雄と名乗る一人の男。
出会って第一声がセックスして下さい、と言う馬鹿げた事を言った不審者。
だが、身元を証明するには十分である試合のチケットを押し付けられ、馬鹿正直に会場に来てしまったのだ。
「……いや、馬鹿でしょ私」
見つかる前に早々に帰るべきだと、Uターンしようとした所、人混みの中に一際背の高い男の姿を認識した。
認識したのと同時にマズいと思ったが後の祭り。
「田中さんっ!」
フルネームで呼ばれなかったのが不幸中の幸いだったけど、選手と思われる人間に呼ばれた事実で目立つ目立つ。
と、言うよりも何故それなりに人の流れがある中で、小柄に部類されそうな朔夜を影山は一目で見付ける事が出来たのだろうか。
可もなく不可もなく、普通の服装をしていると言うのに。
「良かった、来てもらえなかったらどうしようかと思ってて!」
「いやもう何で私も此処にいるのかワケワカメ。寮で昼寝してれば良かった。私の馬鹿」
逃げようにももう朔夜の両手はガッシリと影山に掴まれているので、逃げる事は不可能となった。
学生の貴重な休日を今まで興味の欠片もなかったスポーツに捧げる等、よくよく考えなくても苦痛だ。
「バレー好きですか?」
「スポーツ全般興味なし」
「じゃあ俺バレー好きだから好きになって下さい!」
「どんだけ自己中だよ!」
自分が好きだから好きになってくれ、とはまぁ間違っていない気もするけれど、スポーツに無縁だった人間にいきなり好きになれは無茶である。
「かーえーりーたーいー」
「それじゃあ行きましょう!」
「無視かい!」
手をしっかりと握り締めたまま、影山はずんずんと進んで行く。
出入口から入るかと思ったらそこはやはり選手。関係者用出入口に向かい、朔夜を連れたまま入っていく。
「俺九時から外で待ってたんです!」
廊下を進みながら言う影山の言葉に、朔夜は持っているチケットの時間を見て突っ込んでしまう。
「はっっっや!開場十二時書いてあるけど !? 」
「楽しみ過ぎて!」
「何が !? 試合が !? 」