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【夢小説】バレー馬鹿は恋愛下手にも程がある【HQ/影山飛雄】

第7章 五話 満員電車は吊り橋効果?


 満員電車でどう離れられるんだ、と呆れ返っていると本当に持っていたカバンを影山は持ち、満員電車の人の波で離れない様にとしっかりと抱き寄せたまま乗り込んだ。
 満員電車特有の人と人が押し合う感覚。
 気持ち悪さすら感じつつ掴む物もないと思っていると、ギュッと抱きしめられる感覚と、目の前に人の胸板が来た。
 その胸板の相手が影山である事にはすぐに気が付け、身動きが取りにくい車内の中で顔を上げた。
 流石バレー選手で長身なだけはある。つり革なんて逆に低いのか、直接ポールを掴んでいた。
 顔も周りから一つ飛び出ているレベルであり、体格が良いので狭そうな顔はしているが、酸素はしっかりとある様だ。
 こっちは下手したら自分の顔の位置に人の肩が合ったりして、酸素不足になるとムゥっと見ていると、電車は動き出した。
 発車した事による揺れで影山に抱き寄せられているとは言え、朔夜には掴む物がないのでバランスを取るのが一苦労である。
 電車の揺れに合わせて足元がおぼつかずにいたら、影山の声が聞こえてきた。


「俺の事、掴んでろ」


 嫌だ、と言いたい所だが、他に掴める物もないし揺れでバランスを崩してしまうのは正直辛い。
 遠慮がちに影山の腰元の服を朔夜は掴んでみた。
 確かに何も無いよりはマシだな、と思っていたらがっしりと影山に抱きしめられてしまった。

(…………眼鏡痛……)

 胸板にぶつかった衝撃で鼻頭を擦りながら影山を確認すると、何やら眉間に皺が寄っていた。
 つまり、不機嫌だと言う事だ。

「…………?」

 やっぱり満員電車で気分が悪くなったのかと不思議そうに眺めていると、眉間に皺が寄ったままの影山と目が合った。
 目が合うと影山はブスっと口先を尖らせながら、そっぽ向いてしまった。

(訳わかんない……)

 朔夜がわざわざ影山のご機嫌を伺う必要もないし、そもそも電車の中、それも満員状態で会話をするなどおかしいので、そのまま気にせずに少しでも苦しくならない様にと顔を横に動かした。
 ガタンゴトンと電車特有の揺れを受けながら、身動きが取れないのだから大人しく影山の腕に抱きしめられているしか朔夜にする事は無かった。
 もう少し空いていればスマホでも見たが、満員状態なので見る気も起こらない。
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