【夢小説】バレー馬鹿は恋愛下手にも程がある【HQ/影山飛雄】
第6章 四話 部外者が打ち上げ会にいる意味ある?
王様。久しぶりに聞いた単語に影山の動きが止まった。
それに気が付いた朔夜はじーっと影山の事を見た。地雷でも踏んでしまったのかなぁ、と言った様子で。
影山が何も言ってこないので、朔夜も流石にそれは困ると思い、影山の膝をツンツンとつついた。
朔夜に身体を触られた事に影山はびくんと反応してしまった。膝をつつかれただけで、今までに感じた事の無い感情が身体の奥から溢れ出てくる気がした。
「ノーコメ困る。それでもなく部外者で居づらいのに」
朔夜の訴えに影山は周りを見回した。
影山には慣れ親しんだチームメイトであるが、朔夜にとっては違う。知らない人達の集団の中で食事する事が、朔夜には苦痛だったのかと今更気が付いたのだ。
「……帰りたいか?」
「そりゃあ全力で」
即答でキッパリと言われてしまい、影山は顔をしかめた。
このまま朔夜を帰したら二度と会えなくなってしまうから。連絡先だって知らないし、前出会った場所でそう都合良く会える保証もないのだから。
携帯の番号を教えてくれ、と言いかけて言葉を詰まらせた。
自分に好印象を持っていない朔夜が、すんなりと個人情報である電話番号を教えてくれるとはとてもではないが思えない。
でも、連絡先を入手しなければ次はない。
ムムっと眉間に皺を寄せながら考え込んでいると、朔夜は運ばれてきたプリンを嬉しそうに頬張っていた。
(可愛い……)
このまま連れて帰れれば、と一瞬危ない事を考えてしまい、流石に首を振って否定した。
朔夜に好かれたい。でも方法が分からない。
(早く帰りたいなぁ……)
影山の苦悶などつゆ知らず、朔夜は周りを見ながらボヤーっと考えていた。
別に変に話し掛けられる訳でもないし、やっぱり部外者の自分がこの打ち上げ会に居る意味も理由もない気がしていた。
寮の門限までまだ余裕はあるけれど、門限を言い訳にしたらすんなり帰れる様な気がしてきたので、それを言い訳に逃げようと決めた。
が、口を開こうとした所、折角山積みの肉が無くなった更に追加の焼肉を流し込まれてしまった。
誰じゃい、と視線を上に上げると居たのは牛島。無表情に近い表情で、悪気なくやった様だった。
「まだまだ肉はあるぞ」
「いやだから……そんなに食べられないってば……」