【夢小説】バレー馬鹿は恋愛下手にも程がある【HQ/影山飛雄】
第6章 四話 部外者が打ち上げ会にいる意味ある?
(まぁ……もう関わる事もなさそうだけど)
ズズーと、行儀悪くメロンソーダを飲んでいた所、ふと頬に暖かい感触がして視線を動かした。
「…………」
じっと見つめる先には隣に座る影山。そしてその影山の手が何故か朔夜の頬に触れているのだ。
ズーっとメロンソーダを飲み干してから、朔夜はゆっくりと尋ねた。
「何?」
「いや……凄く触りたくなったと言うか……」
影山の返答になんと返すのがベストかと考えた結果、目に入ったポスターに書かれていた単語を朔夜は口に出した。
「セクハラ?」
「ぐっ!」
朔夜は言葉がグッサリと刺さっている影山などお構い無しの様子でいた。本当に影山に対しての異性としての興味心が薄いのだった。
意識し無さすぎと言うか余りにも興味が無さすぎと言うか。
「…………朔夜」
「ん〜?」
もきゅもきゅと肉を頬張っている朔夜を確認しながら、影山は改めて伝えてみた。
「俺と結婚……」
「順序飛んだ飛んだ!」
「確かにこれは嫌がられても仕方ない!」
影山の言葉につい周りのツッコミも早かった。
まだ、知人になったかどうかも怪しいと言うのに、友達になって下さいならまだしも、付き合うも飛ばして結婚はない。
朔夜が嫌がる理由が周りもやっと分かったと言った所だった。
「…………」
もぐもぐと肉をよく噛んで飲み込み、朔夜は口を開いた。
「絶対やだ」
「俺の何処が駄目なんだっ !? 直せる所は全部直すから!」
切実そうに言う影山に、朔夜は影山の事を上から下までじっくりと観察して、再び口を開く。
「全部」
まっすぐ視線を逸らす事無く言い切った朔夜に、影山は悶えた。全部が駄目だと言われたら、何処から直せば良いのか見当もつかない。
そもそも何を直せば良いのか分からなかった。
「俺の事を好きになれっ!」
「ジャイアンなん?直せないなら最初から言うんじゃない」
容赦なくピシャリと切り捨てる朔夜に、影山はぐっと言葉を詰まらせた。
確かに直せる所は全部直すと言ったのは影山なのだから。
だからと言って全部直してくれ、では最早別人になってしまうではないか。
「…………」
言葉を返せずにいる影山の事を見ていた朔夜だが、小さめの声で修正する様に呟いた。
「じゃあ取り敢えずその有無言わせない王様っぽい所から」