【夢小説】バレー馬鹿は恋愛下手にも程がある【HQ/影山飛雄】
第5章 三話 雰囲気だけで乗り切れ
試合が終わった後はファンサービスもしていたし、色々大変なんだなぁ、と思っていると影山の次に最初に会った人物に話しかけられた。
「俺達シャワー浴びてミーティング終わらせたら焼肉食いに行くけどどうするんだ?」
「帰る」
「即答かよ。影山の奴が絶対に奢ってくれるぞ?」
「帰る」
全くブレない朔夜の言葉に、頭を掻きながらに言ってくる。
「多分影山の奴、すんなりと帰してくれるとは思わないし、えっと……田中さん?だっけ」
名前を尋ねられそう言えば、と流石に思った朔夜は影山もいない事だし、と本名を告げるのだった。
◆
「戻りましたっ!田中さんちゃんと居ますかっ !? 」
駆け込む様に戻ってきた影山に向かって、朔夜は嫌そうに答えた。
「居るよもう……。てか田中じゃないから。本名教えてないけど」
教えてない自分が悪いと分かりつつも、朔夜がそう伝えると居る事に、影山が安堵した表情をしているのに気が付いた。
そこまで自分の何が良いのだろう、と本当に思う。どう見ても自分なんかより、チアリーダーみたいなお姉さん達の方が美人だったと思うのに。
美人に見慣れて飽きているのかと、美人は三日で飽きる、と言う言葉は本当だったのかと朔夜は考えていた。
「じゃあ俺もシャワー行ってくるか。海野さん、影山に焼肉奢ってもらえって」
「えぇー。星海さん、私帰りたいんだってば」
「高い肉食えるぞ?」
「私にはあんま魅力が……」
ぬぬぬ、と渋い顔をしている朔夜と、明らかに親しくなっている星海光来に影山はゆっくりと声を掛けた。
「星海さん……?海野、って……」
恐る恐る尋ねてきた影山に、朔夜を指さしながら星海は答える。
「田中さんの本名」
「俺本名聞いてないんですけど !! 」
がっと食い付いてくる影山に、朔夜は涼しそうな顔で言う。
「だっていない間に話したんだもん」
「俺も知りたいです!」
「えー、やだなぁ知られるの」
星海は良くて何で自分は駄目なんだ、と影山は納得が出来ない。それ以前に自分以外のチームメイトと親しくなり過ぎて欲しくない。
「……田中さんは俺の彼女です」
「だから彼女じゃないってば」
きっぱり拒否されたので、益々眉間に皺が寄る。そんな影山を見ながら、星海は割り込みながらに言う。
「まぁ時間はたっぷりあるんだし、ゆっくり話していけよ」
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