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【夢小説】バレー馬鹿は恋愛下手にも程がある【HQ/影山飛雄】

第5章 三話 雰囲気だけで乗り切れ


 朔夜の言葉に影山は慌てて自分のユニフォームの臭いを嗅いでいた。そして、朔夜の手を掴むと足早に控え室へ向かっていく。
 歩幅が合わなくて転びそうになりつつ、影山の力を振り払えないので、朔夜は従うしかなかった。

「なー、もう帰らせてよ〜。試合観たじゃん〜」

 一応訴えてはみたもの、見事に無視をされた。
 控え室に入ると、そこには試合を終えた男達がいて、熱気でムワッとしていた。

「おっ、戻ってきたかー」

 影山が朔夜の事を迎えに行く事は最早当然、と言わんばかりの反応にまた疲れる。
 影山はと言うと、自分のロッカーの中を漁って何かを探している様だった。
 何をしているのだろう、と見守っていると影山が取り出したのは制汗剤スプレー。
 自分に吹き掛けるとぐるんと振り向いて言う。

「これで良いですかっ !? 」
「だから駄目だって言ってるってば。つか、汗滴ってる。風呂入ってこい」

 言われて、頬を伝う汗を肩で拭きながら、ガシッとタオルを掴んで影山はドアを掴んで言う。

「風呂は無いけどシャワー室あるので!絶対に帰らないで下さいよ!」
「分かった分かった。帰らないから」

 シッシッと追い払う動作をしていると、影山は走りながらら出ていってしまうのだった。
 影山がいなくなると、そっと牛島が来て尋ねてきた。

「田中さん、試合どうだった?」
「んー……あ、勝ちおめでとうございます?」
「ああ、そうだそれから」

 牛島が何かを思い出した様に移動するので待っていると、ボールを持って戻ってきた。
 そこにはしっかりと牛島のサインが書かれていた。

「……だからボールはもう良いってさぁ〜」

 やっぱり伝わってなかったか、とかと言っていらないとも言えずに牛島のサインボールを受け取る。
 ボールがカバンに二つ。もうこれだけで荷物だ。

「ボールってどう飾るの?専用の台?」
「クリアケースとかがあるな。欲しければすぐに用意してこよう」
「……荷物になるからいい」

 既にレプリカユニフォームとボール2個でカバンの中がいっぱいになってしまっている。これ以上荷物が増えたら帰りの電車が憂鬱になるし、何よりもアニメイトで買い物などしたらとんでもない大荷物コースだ。

(アニメイトは諦め……かなぁ…………)

 トホホ、と考えていると他の選手達もシャワーを浴びに向かって各々出て行っていた。
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