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【夢小説】バレー馬鹿は恋愛下手にも程がある【HQ/影山飛雄】

第4章 二話 彼女(予定)です


 すぐに戻るのは嫌だったので、すぐ側の飲食物を適当に買ってから周りに気が付かれない様に、諦めて影山の元へと戻る事にした。





「俺のユニフォーム!」
「私の五千円返せぇぇぇぇ !! オタクの五千円はどれだけ推しに貢ぐ為に必要だと思ってんだ……」

 戻った控え室で目を輝かせて喜ぶ影山と、顔を抑えて嘆く朔夜。見たままの対極の二人の姿に周りも声を掛けづらかった。

「サインしますよ!俺!」

 朔夜の嘆きに全く気が付く様子のない影山に、朔夜は真顔で言う。

「え?ヤフオクで転売でもすればいい?」
「それで田中さんが喜ぶならは」
「ごめん、嘘だから」

 流石の朔夜もそこまで人でなしではない。それに、目を輝かせながら、本当に嬉しそうに買ってきたレプリカユニフォームにサインしている姿を見ると、転売は心が痛くなる。
 それにしても服にサインを書くのに慣れているらしい影山に、純粋に尊敬していた。布地に文字を書くのは難しいのだから。

(楽しそうだなぁ……)

 全てが他人事の様に映っているのだが、目の前の光景は自分が関わっている光景なのだと理解はした。
 ただの二次元オタクが、スポーツオタクの中にいるのが変な感じしかしない。


 住む世界が余りにも両極端過ぎて。


 これからちゃんとルールも分かっていなければ、選手も分からない試合を観るのかと、遠くを見つめる目で天井を見た。
 そう言えばバレーの試合はどれくらいの時間が掛かるのかすら、朔夜には分からない。

(流石に寝たりはしないだろうけど……)

 する事もないし、妄想でもして時間を潰すしかないのかと思っていた所、サインが書き終わったらしく、興奮した様子で影山が寄ってきた。

「書き終わりましたよ、サイン!」
「へぇ〜あ〜り〜が〜と〜」

 棒読みで答えながら、サインを見てみた。

「…………芸能人っぽい何書いてるか分からないヤツやな」
「影山飛雄って書いてあります」
「他の名前だったら目玉が飛び出す位に驚くわ」

 冷静にツッコミを入れていると、そろそろ選手達はアップの時間だと話が聞こえてきた。
 ユニフォームはしまえばいいのか?と思っていると、何故か期待いっぱいの眼差しで朔夜の事を影山は見ていた。

「え?何?」
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