【クロスオーバー夢小説】ソラのコ【REBORN×銀魂】
第3章 空1 無表情の少女
「チャイム鳴るから急ごう」
そう言って今度は綱吉に合わせたスピードで行く。まだ先程の全力疾走の余波で頭がクラクラしている綱吉の事を配慮して。
玄関に入り靴箱で外履きから上履きへと履き替える。遅刻ギリギリの時間で周りの生徒の数も少なく、皆早足に教室へ駆けていく。綱吉と飛鳥も例外ではなく、早足で教室へと向かう。
向かいながら綱吉は申し訳なさそうに飛鳥へ言った。
「ははは……毎日本当に駄目だよな、俺」
「眠いなら仕方ないよ」
サラッと返答をする飛鳥に綱吉は首を振りながら自分の事を考えて言う。
「何時でも飛鳥に頼りっきりでさ。飛鳥は何でも完璧に出来るのに兄貴の俺は何も出来なくてさ…………」
何でこうも同じ生活をしていて違うんだろうと落胆していると、早足で歩いていた飛鳥がその歩みを止めて止まっている事に気が付いて綱吉も止まった。
「飛鳥?」
振り替えると同時に飛鳥が言う。
「そんな事、ない」
「飛鳥…………」
「綱吉は駄目なんかじゃない」
はっきりきっぱりと意思の強い瞳で言われた。
それは飛鳥が本心から言っている事が伺え、自分の事を思って言ってくれている事を理解していても驚いてしまう。
「周りの言う事なんか気にしなくていい。綱吉はそのままでいい」
気圧されてしまう程、はっきりとした飛鳥の声。誰からも『ダメツナ』と呼ばれていて呼ばれ慣れてしまって当人すらそう思っている。そんな自分に向けて違う、と言ってきた。
「あす…………」
キーンーコーンーカーンーコーンー
綱吉の言葉を遮る様にHRが始まるチャイムの音が響いた。
「あ……」
結局遅刻だ、と声を漏らした綱吉に再び歩き出した飛鳥は、今までの事が何もなかったの様に言う。
「急ごう」
綱吉の返事も聞かずに飛鳥はスタスタと、教室の方へ歩いていってしまった。
「あ…………う、うん……」
何とか返事をして綱吉も教室へと急いで行った。数分の遅刻だから大して怒られる事もなく、無事にHRが終わった。
一番前の窓際の席に座る飛鳥と真ん中の列に座る綱吉は席が離れている。ボヤーッと外を眺める飛鳥を見ていると綱吉はクラスメイトに声を掛けられた。「よう、ダメツナ。今日も遅刻かよ」
「あはは……」
空笑いで答えればクラスメイトは飛鳥の後ろ姿を見ながら言う。