【クロスオーバー夢小説】ソラのコ【REBORN×銀魂】
第3章 空1 無表情の少女
「アーちゃん。ツナは絶対にあと五分じゃ起きないから明日からは二度寝させたら駄目よ」
腰に手をあてながら言う姿にトーストを食べ終わった飛鳥は頷いた。
「ほらほら、二人共急がないと遅刻よ、遅刻」
奈々の言葉に時計を見ればもう八時。急いでも遅刻になってしまう時間だ。
「飛鳥早く行こう!」
朝食のトーストを手に取りそのまま玄関へと走りながら綱吉は言う。しっかりと朝食を座って食べ終えた飛鳥は、ゆっくりと立ち上がり荷物を手に取った。
「母さん行ってきます!」
遅刻だ遅刻だと騒ぐ綱吉の声を聞きながら飛鳥も言う。
「奈々、行ってきます。フェイとリュウをよろしく」
「うん、アーちゃんもツッくんもいってらっしゃい」
笑顔で手を振る奈々の姿とその奥にいる二匹の動物の姿を見てから、飛鳥も先に家を飛び出して行った綱吉の後を追って出掛けた。
騒がしくも幸福な日常が今日もやってきた。
寝坊に慌てる綱吉にそれを優しく叱る奈々。その親子の光景を無言で見守る飛鳥。沢田家、沢田親子の当たり前の日常、だ。
「さーて、朝の嵐も去ったしお片付けしましょう。フェイとリュウ、お手伝いお願いね」
奈々の言葉に二匹の動物が動くのだった。
◆
「遅刻遅刻遅刻!」
朝食のパンもロクに味わえずに綱吉は走る。その後を飛鳥は呼吸一つ乱す事なく着いていく。
「あああ!もう走っても絶対に間に合わない!」
もう駄目だと弱音を吐く綱吉に向かって飛鳥は言う。
「綱吉、急ぐ?」
「急ぐ、いそ…………」
綱吉の最後の言葉を聞く事もせず、最初の言葉から判断をした飛鳥は綱吉の手をしっかりと掴んで走るスピードを上げた。
「だぁあ!」
その速さと言ったら。
その速さについていけない綱吉は半分宙に浮いた状態になる。本来ならば転んでしまうのだが、しっかりと掴んでいる飛鳥の手の所為で転ぶ事が許されない。
自分自身の足にとられながらも、綱吉は荷物を落とさまいと必死にカバンを握り締め、早く学校に着けと祈るばかりだった。
毎度の事ながら飛鳥の足の速さには慣れない。同じ人間でましては飛鳥は女の子なのに、と。
自分の駄目さ加減が嫌な程思い知らされる。
「間に合ったよ」
校門前にてやっと止まった飛鳥に向かって、綱吉はフラフラのまま答えた。
「あ、ありがと……」