【クロスオーバー夢小説】ソラのコ【REBORN×銀魂】
第3章 空1 無表情の少女
「ダメツナに付き合って完璧飛鳥も遅刻だもんなー。てか遅刻する時って必ずダメツナと一緒だよな。駄目兄貴に付き合ってんの?」
「あー……まあ、うん」
事実であり否定する事が出来ず、綱吉は縮こまった。
何かある度に二人は何時も比べられた。駄目な兄と完璧な妹として。
綱吉は実際に自分が駄目人間であり、色々な事を完璧にこなす飛鳥と比べられるのは当たり前だと考えていた。飛鳥がそれに関してどう思っているかは、……怖くて聞けていない。
「ったくせっかく容姿端麗才色兼備なのにダメツナが兄貴なんて完璧に穴だよなー」
ゲラゲラと笑い言われても言い返す言葉なんか見つからないし、笑ってやり過ごすしかない。気にするだけ無駄な足掻きであるし、飛鳥に対して引け目も持っていたから。
自分は飛鳥にとって恥ずかしい存在なのだと。
(はぁ…………本当に飛鳥に申し訳ないや……)
飛鳥の兄として情けなくて、消えてしまいたいと思う程だ。飛鳥には容姿も文武も完璧にこなせる人が兄として相応しいし誰もが納得するだろう、と。
自分は飛鳥の兄に相応しくない。
そう思った瞬間だった。今まで好き放題に喋っていたクラスメイト達が突然黙ったのだ。どうしたんだと顔をあげようとした瞬間声がした。
「ねえ、煩い」
それは紛れもない飛鳥の声であり、しっかりと顔をあげると先程まで自分の席に座っていた飛鳥が、目の前にいた。
一切表情を変えず、淡々調子で言う。
「ダメツナ言うな、煩い」
その言葉に綱吉は今までの話が飛鳥の耳に入っていたのだと理解した。そして飛鳥はその話が不愉快であったと言う事も。
「いやーでもさ、ツナが兄貴で嫌だと思わないの?何をしても駄目駄目で……」
「煩い」
ピシャリと言い放つ飛鳥に怖じけついてしまったのか、綱吉を散々弄っていた人間は皆自分の席へと逃げていった。
逃げていく姿を黙って見る飛鳥に、綱吉は恐る恐る声を掛けた。
「……あ、飛鳥」
「綱吉、気にしたら駄目だからね」
静かに言う飛鳥の声色は怒っていない事がすぐに分かる柔らかい声だった。
「えと…………」
なんて返事をすればいいのだろうかと迷っていると、はっきりと飛鳥は言った。
「綱吉は私のにぃだよ」
「飛鳥…………」
こんなに情けない奴なのに兄だと言ってくれる飛鳥が綱吉には嬉しかった。