【クロスオーバー夢小説】ソラのコ【REBORN×銀魂】
第9章 空7 家族
「はいよっ」
店主の活きの良い返事を聞いていると後ろから肩を叩かれ、飛鳥は振り返った。
「おばーちゃん!」
「飛鳥ちゃん、こんにちは。先生と一緒にお買い物かい?」
そこには見慣れた顔の老婆がいて、飛鳥は笑顔で答えた。
「うん!せんせーのおてつだいしてる!」
「飛鳥ちゃんは小さいのに偉いねぇ」
「銀にぃはおるすばんなの」
「あらあら、またお留守番なの~」
楽しそうに話す飛鳥の姿に松陽の顔は自然と綻んでしまっていた。ただただ愛されて育っていく我が子の成長を見守るのはここまで幸福を感じさせるのかと。
松下村塾の子供達と飛鳥はやはり違う。行き場がなく迎え入れた銀時も飛鳥へ抱く感情とは異なる。
先生として自分を慕う子供達と、親として自分を慕う飛鳥とでは、無意識下の元区別心が生まれる。
飛鳥が自分の事を父だと呼ぶ事がないのは、周りの環境から生まれているが、間違いなく親だと思ってくれている。
それだけで十分だった。
「飛鳥ちゃん、また背が伸びたねぇ」
「おばーちゃんわかるの!?」
「そりゃあおばあちゃんだからねぇ。飛鳥ちゃんの成長見るのがここ数年の楽しみなんだよぉ」
ニコニコと笑いながら言う老婆に、飛鳥は魚屋の柱に手を当てて嬉しそうに言う。
「きのーね、晋にぃが身長はかってくれたら前はここだったのが、ここになったんだよ!」
「おやまぁ、ぼんやりしてたらおばあちゃん、飛鳥ちゃんに身長抜かれちゃうねぇ」
優しく飛鳥の話を聞く老婆に、飛鳥はドンと胸を叩いて言うのだ。
「じゃあ飛鳥、おばーちゃんよりおっきくなったら小太にぃみたいにおばーちゃんの事おんぶして助けてあげる!」
「あれまぁ、それじゃあこれからは膝が痛くなったら飛鳥ちゃんに助けてもらおうかねぇ」
「まかせて!」
ほんわかとした空気を醸し出していると、魚屋の店主が魚を包んだ包みを渡しながら言う。
「本当に飛鳥ちゃん大きくなったなぁ。最初はあんな小さい赤ん坊だったのにな」
「本当ですよ。この村の皆さんには感謝しきれない。私だけではあの子をここまで育てる事は出来ませんでしたよ」
松陽はそう言いながら昔を思い出す。
右も左も分からない乳飲み子を抱き抱え、村人達に助けを求めた。