【クロスオーバー夢小説】ソラのコ【REBORN×銀魂】
第8章 空6 温もりの記憶
よく掴み合いの喧嘩をしている仲ではあるが、止めない理由にはならない。
取っ組み合いを今にもしそうな銀時と小太郎を呆れ顔で晋介は見ていて、巻き込まれたくないので止める様子は見られなかった。喧嘩する程仲は良い、と言うが……。
と、呆れ顔半分困り顔半分で止めに入ろうと松陽が腰を上げようとした刹那。
「…………あ――」
松陽の腕の中から小鳥の様な愛らしい声がした。
その声に掴み合いをしていた銀時も小太郎も、一歩下がった所にいた晋介も、一瞬にして松陽の腕の中にいる赤子に目をやり、たちまち駆け寄って口々に言う。
「起きた、先生起きた!」
「深藍色(ふかきあいいろ)の目だ。こんなに綺麗な色の目は初めて見た」
「ふか……?高杉テメー何語話してんだ?」
「深藍色はきこらん、とも読まれる暗い青緑色の事を言うんだ。そんな事も知らないのか。寝てばかりいるからだ」
「アーアー、ヅラが知識自慢してくるー」
両手に耳を当て、大声で言う銀時に小太郎が青筋を立てて再び掴みかかろうと動く。
しかし、それを遮るかの様に今度は大きな鳴き声が響いた。
「あーん!あーん!」
突然泣き出してしまった赤子に松陽は慌ててあやし始めた。それでも泣き止まない姿を見て晋介が言う。
「お前達が大声で騒ぐから!」
どうあやそうかと焦る晋介に向かって、銀時と小太郎はほぼ同時に言った。
「「 大声はお前の方だ !! 」」
バッと駆け寄り、未だ泣く赤子に向かって二人は言う。
「腹でも空いてんじゃねぇの?ヅラ、乳だ、乳出せよ」
「なんで俺から母乳が出るんだ、巫山戯るな」
「じゃあ高杉どうせ暇なんだからちょっと牛乳買ってこい」
「赤ん坊に牛乳を飲ませるか。つか誰が買いに行くか」
今度は赤子の事でギャーギャー騒ぐ姿にどうしたモノかと考えていた所、スッと奥の物陰から獣が姿を現した。
犬なのか、狐なのか。体高六十はありそうなその獣の被毛は薄紫色をしていて、尾を二尾持ちそれが地球の生き物でない事を物語る容姿だ。
「「「 !? 」」」
突然の侵入者に三人が身構えていると、そのまま続く様に体高三十程の緑色の鳥が続く様に姿を現す。羽を広げると優に一メートルを超えていた。
何か声を発する訳でもなく、静かに二匹は松陽と赤子の元へ赴き、泣く赤子の事を壊れ物に触れるかの様に接してきた。
