【クロスオーバー夢小説】ソラのコ【REBORN×銀魂】
第7章 空5 いかないで
雲雀の手に握られているのは結い紐。見間違える訳が無い。赤色の紐に黄金色の鈴。対で在る世界に一つだけの宝物。
大好きな大切な『先生』がくれた……。
飛鳥の顔色を見て綱吉は慌てて雲雀へ言う。
「それ大切な物なんですっ !! 俺達それを探してて…………」
「で?だから群れるのが許されるとでも思ってる訳?」
雲雀の一言にさぁっと血の気が引いた。雲雀が最も嫌う『集団行動』をしているのを見られてしまい、不義を買ってしまった。
相手はあの雲雀。足が竦んでしまう。でも――引く事は出来ない。
再び口を開こうとした刹那、飛鳥の声が出そうとした綱吉の声を書き消して言う。
「返して」
小さく、でも澄んで聞きやすい声が訴える。
「お礼は言う、だから返して。それは――――」
「僕に意見するんだね、沢田飛鳥」
雲雀は淡々とした口調で話し続けてきた。有無言わせず反論以前に答える事すら許さない空気を発しながら。
「君は何度も並盛の風紀を乱している子だよね。無断欠席は勿論、何よりも……それ」
スっとヒバリの指が飛鳥の背中に背負われた竹刀袋を指した。剣道部でも無い飛鳥が四六時中手放さない物。
「並盛の風紀を乱す物の所持を風紀委員として認める事は出来ないね。だから……」
チリン、と結い紐を差し出しながら雲雀は嘲笑しながら言った。
「コレとソレ交換するならば返してあげるよ」
その一言に飛鳥は目を見開いた。何を言っているのか理解出来なくて。交換?何と何を?結い紐も竹刀袋の中身もどちらも飛鳥の所有物であり、持ち主は飛鳥だ。
自分の物を何故交換?飛鳥の思考は追いつかないし理解出来なかった。
「ヒバリてめぇ!ふざけんじゃねぇぞ !! 」
「それはいくらなんでも駄目だろ?なんで飛鳥の持ち物をヒバリに一つ渡さないといけねーんだよ」
「ヒバリさん!お願いします !! 本当に大切な物なんです !! 」
綱吉達の必死な声を横目に雲雀は表情を一切変えず、淡々と話を続けてくる。その様子は楽しんですらいるように見える始末だ。
「並盛では僕が絶対のルールだよ」
雲雀の言葉を理解出来ない。何を言っているのか、あれは本当に言葉なのだろうか。
言い争っている言葉ももう耳には入らない。まるで世界がモノクロの無音の世界の気がしていた。