【クロスオーバー夢小説】ソラのコ【REBORN×銀魂】
第7章 空5 いかないで
綱吉の口から出たその言葉に、飛鳥の顔が無表情ながらに泣きそうな表情へ変わったのを、綱吉は見逃さなかった。飛鳥の事ならば、小さな変化でもすぐに分かるのだから。
「…………あす……」
「君達、何をしているの?」
綱吉の声を遮る様に声を掛けられた。山本のでも獄寺のでも京子のでもない、男の声。
その声に全員が振り返ると漆黒の学ランに身を包んだ少年が不機嫌そうな顔付きで立っていた。
「ひっ……ヒバリさん !? 」
その相手を認識し、綱吉の顔が一瞬にして青褪めた。
飛鳥には聞き覚えだけがある声を持つ見知らぬ少年。綱吉の知り合いであるみたいだが、表情を見る限り仲が良くない事がすぐに分かった。
「……綱吉、誰?」
そっと尋ねてみると綱吉は困った、と言うよりも怯えた様子で落ち着きがなかった。ただ苦手だとしてもここまでの反応をするなんてどれ程の犬猿の仲なのかと心配そうに見てしまう。
「え、えと…………」
回答に困っている綱吉など興味ないらしく、少年は飛鳥の方を見て言い出した。
「ねぇ、君」
「……?」
「そう、君」
「…………何?誰?」
綱吉の腕をギュッと握り締めながら答えるのと同時に尋ねる。飛鳥には声を掛けられる理由が分からなかった。知らない相手なのだから尚更だ。
「ヒバリてめぇ妹様に何の用だ !! 」
ザッと飛鳥と綱吉を守る様に、獄寺がダイナマイトを構えながら噛み付くような声色で怒鳴り言う。獄寺の優先順位は綱吉を守る事の様で、その妹である飛鳥もその対象になった様だ。
「妹?へぇ…………誰の?」
「十代目に決まってるだろうが !! 」
その言葉に雲雀は再び飛鳥へと視線を移す。じっと見てるく視線は興味がある、と言っているかの様だった。
無言で綱吉から離れようとしない飛鳥を隠すかの様に山本は移動し、刺激を与えない様にといつもの笑顔で言う。
「ヒバリ悪いなー。俺達今ちょっと落し物探してんだよ。大事な物だからどうしても見つけなきゃならないからさ、用事はまた今度にしてもらえねーか?」
「……落し物?」
山本の言葉に雲雀はふーん、と言った表情をしてから着ている学ランのポケットに徐ろに手を入れるとスっと前に突き出した。
――チリン
雲雀の手元から聞こえたのは澄んだ鈴の音。その音の元を飛鳥が分からない訳がなかった。
「結い紐……っ」
