【クロスオーバー夢小説】ソラのコ【REBORN×銀魂】
第7章 空5 いかないで
みんなで探してくれる事になった結い紐。友達が増えていき喜んでいく綱吉。その中、飛鳥は…………。
心が曇っていく事を確信していた。
別に綱吉に友達が出来ても自分の前からいなくなる訳ではない。綱吉との関係が変わる事もない。なのに、どうしようもない位に心が不安で、孤独で、切なかった。
いつも二人の世界には二人しかいなかった。
綱吉の世界には飛鳥だけが、飛鳥の世界には綱吉だけが。
それが当たり前であり当然の事の様に月日は流れていた。が、それが一人の赤ん坊が現れた事をきっかけに脆くも崩れた。
本来ならばそれは喜ぶべき事である。でもそれをすんなりと受け入れられる程……。
飛鳥も綱吉も大人ではなかったのだ。
話したい時に話せない。側に居たい時に居られない。そのもどかしさと言ったら、切なさと言ったら……。
目の前に確かに居るのにまるで居なくなってしまったかの様に心が孤独だった。
でもそれを言葉に出す事など出来ない。
折角出来た友達。ずっと憧れ続けていた存在。自分を必要だと言ってくれる事、一緒にいたいと言ってもらえる事。
これ以上の幸福が存在するとでも言うのだろうか。
いつでも共にいられる家族と違い、友人は常にいられる訳ではない。そんな存在を無下にする事など出来ない。
綱吉の性格からしてもそんな事不可能なのだから。
飛鳥は大切。
でも、獄寺達も大切だ。両方を天秤に掛けた時、どちらかだけを選んで切り捨てる事なんて出来やしない。
飛鳥の性格からしたら自分の事よりも、と言う事も理解しきっている。それに甘えてしまっている自覚が綱吉にはあった。
その所為で話したい時に話せない今の状況が生まれてしまったのだ。
視線は常に飛鳥の方を見ていても言葉は飛鳥の方へ向いていない。何とも言い難い思いに綱吉は胸が痛むのを感じずにはいられなかった。
(…………飛鳥)
何処か遠くを眺めているその後ろ姿は儚く、昔を思い出してしまう程で。今すぐにでも。ずっと側にいた飛鳥が。
何処か遠くへ行ってしまう様な錯覚に襲われていた。
「ここら辺で良いんだよな?」
そう尋ねてきた山本の声に綱吉はハッとしてから答えた。
「う、うん。多分並盛神社の前で間違いないと思うから……」