【クロスオーバー夢小説】ソラのコ【REBORN×銀魂】
第6章 空4 増えていく友人
持ち主である飛鳥当人は既に諦めている状態であるし、と気にとめる綱吉に向かって京子が言うのだ。
「みんなで探してみようよ」
「え?」
目を丸くした綱吉に京子は再度言う。
「一人じゃ見つけるの大変かもしれないけれどね、みんなで探したらきっと見つかるよ」
その言葉に山本も続けて言った。
「俺も近所の人達に聞いたりしてみっからさ、諦めないで探そうぜ」
「十代目!妹様!この獄寺、必ず見つけてみせますよ!」
続く様に力一杯握り拳を作りながら言う獄寺に綱吉は戸惑いながらも嬉しそうな表情になっていた。
そんな綱吉の姿を飛鳥は黙って見つめていた。
嬉しそうに話をしている綱吉。百面相かと思う位にコロコロと表情が変わっている綱吉の視線の先は自分ではなく他の人間に向かって向けられている。
それはとても嬉しい事。ずっと友達が欲しいと言っていた綱吉の願いがやっと叶ったのだから。綱吉が嬉しい事は自分も嬉しい事である……筈だ。
喜ばしい事である筈なのに、心が曇っていく気がした。
「飛鳥!」
綱吉の声にハッとすると笑顔で言われたのだ。
「みんなが一緒に探してくれるからもしかしたら見つかるかもしれないよ!」
嬉しそうに言う綱吉だったのだが、なんと言葉を返せば良いのか分からず返答出来なかった。
「…………飛鳥?どうかした?」
様子がおかしい飛鳥に綱吉が心配そうに尋ねてきて、やっと飛鳥は返答をした。
「そうだね……」
あまり嬉しそうに見えない飛鳥の姿に綱吉は声を掛けようとしたのだが、山本の言葉に遮られてしまった。
「取りあえずみんなで神社周辺もう一回探してみようぜ」
「うん、それで無かったら探し方変えてみようね」
続ける様に京子も言い、綱吉はその対応をする事になった。飛鳥の事は気になる……のだけれど、今は飛鳥と二人っきりではない。
友人が出来たと言う事はこう言う事も起きるのだと綱吉は身を持って知る事となった。
増えて行く友人。それは嬉しい事……嬉しい事であるのだ。飛鳥はそう自分の心に言い聞かせながら、友人達と話している綱吉の姿を寂しそうに眺めているのだった。
ソラのコ
空4 増えていく友人
(2011,9,29 飛原櫻)