【クロスオーバー夢小説】ソラのコ【REBORN×銀魂】
第5章 空3 少女の笑顔
その問いに対して飛鳥は静かに首を振った。声だけしか聞いていなく、姿は全く見ていない。
「男の人だった。でも大人ではなさそうな声してた」
「全く姿は見なかった?」
「うん、急いでたから」
その返答に綱吉は落胆した顔をした。あまりにも少なすぎる情報でそれじゃあ雲を掴もうとしている様な物だ。
でも、諦める事を綱吉は絶対にしたくなかった。
「俺、絶対に見つけるから!だから飛鳥諦めたら駄目だ!」
「でも難しいよ?」
本当に拾われたかどうかなどわからないのだし、下手したら動物が持っていってしまった可能性だってあり得るのだから。半ば諦めている飛鳥に綱吉ははっきりと強い声で言った。
「あれは飛鳥が先生から貰った大切な結い紐なんだから俺絶対に見つけてみせる!」
グッと握り拳を作り言った綱吉に飛鳥は結い紐をくれた人物を思い出していた。
『飛鳥、これを。飛鳥の長い髪の毛にとね』
『綺麗な音(ね)の鈴だろう。飛鳥がきっと喜ぶと思ってね』
『この音がしたら飛鳥の場所がすぐにわかる。必ず其処に私は来よう』
何時でもその音を頼りに、必ず来てくれるから、と。そう言ってくれた大切な結い紐。
――宝物。
「…………うん」
鈴の音(ね)に来てくれるのはあの人だけじゃない。綱吉だって来てくれる。だからその意味もあるから宝物なのだ。
チリンと言う音を頼りに皆が来てくれる。
「俺の探し方が悪いかもしれないから、もう一回探し直すよ!」
そう言って地面にへばりつく様に探し直す綱吉の姿を黙って見つめた。必死で真剣な姿にふっと顔が綻んだ。
綱吉の優しい所が本当に嬉しくて大好きだ。
「綱吉」
呼び掛けられて振り返った綱吉は飛鳥の表情を見てつられて同じ表情になった。それは溢れんばかりの
――――笑顔
だった。
綱吉にだけ見せる飛鳥の笑顔。奈々にさえ見せる事がない信頼の証。控えめながらもしっかりと微笑む飛鳥の姿に綱吉も笑顔を返すのだった。
ソラのコ
空3 少女の笑顔
(2016,4,4 飛原櫻)