【クロスオーバー夢小説】ソラのコ【REBORN×銀魂】
第5章 空3 少女の笑顔
「………別に平気だよ」
男性の声であった。まだ若々さがある声だったが深く詮索しようなど片隅にも生まれず、返答を聞けば飛鳥は顔を見る事もなく駆け出した。
その時に少し違和感のある鈴の音が聞こえた気がしたと思いながら……。
ぶつかった相手の顔も見ずに走り去っていってしまった飛鳥の後ろ姿を、ぶつかられた相手は無言で見ていた。特にその事に対して咎めようとも、詮索しようとも思わなかったが。
ただ、真剣に走り去っていく姿に目を奪われただけだった。
飛鳥が角を曲がっていき、完全に姿見えなくなったので歩き出した瞬間、足元で小さく音が鳴った。
――――チリン
何かと思い、足元……正確には足先を見ればそこには紐に結ばれている鈴が落ちていた。拾い上げてじっと見てから鳴らしてみれば、澄んだ音が鳴った。
そう、自分はこの音を聞いて此処に来たのだ。
そして音が近くなったと思った瞬間に飛鳥がぶつかってきたのだ。そう考えれば飛鳥が縛る髪の毛の先に同じ物が合った事を思い出した。
これは飛鳥の落とし物……。
その人物はそう確信をして、鈴を上着のポケットにしまいこんだ。
◆
ぱたぱたと走り、もう少しで家だと言う距離になった時左側から聞きたくて仕方ない声がした。
「飛鳥!」
そこには制服から急いで私服に着替えたのだろうと判断出来る綱吉の姿が合った。だらしなく服を着ているなど気にもならないらしく、肩で息をしながらそこにいた。
「綱吉!」
綱吉の姿を見た飛鳥の声色は本当に嬉しそうで、自分の名を呼んでくれた。
「飛鳥っ………俺っ!」
そう言って走り出した瞬間、自分の足に躓いて派手に転んでしまった。顔から転び込んだ綱吉に飛鳥は慌てて掛けよって尋ねた。
「綱吉、大丈夫?」
「いてててて…………」
鼻頭を押さえながら起き上がった綱吉は飛鳥の姿を見るなり思いっきり抱き締めた。
「……綱吉…………どうかした?」
不思議そうに尋ねてみると綱吉は消え入りそうな声で答えた。
「………………会いたかった」
その言葉に飛鳥はハテナマークを飛ばしまくりながら言う。
「毎日、会ってるよ?」
同じ家に住んでるのだから。