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【クロスオーバー夢小説】ソラのコ【REBORN×銀魂】

第5章 空3 少女の笑顔


 昔は違った。ちゃんと喜怒哀楽もあったし、人見知りを知らなすぎて心配されていた位だ。でも変わってしまった。昔の様にいられない世界に変わってしまったのだから。
 しかし、変わってしまった中で綱吉だけは信頼する事が出来た。あの日のあの言葉を聞いた時から、信頼出来るのは綱吉だけだ。


 綱吉だけが兄なのだから。


 そう思って生きていて、それが揺らぐ事はないつもりだ。けれど、ふと気になってしまう事がある。
 モヤモヤはそれなのかもしれない。
 綱吉に正直に話した方がいいのだろうか?その方が自分の為でもあるのだろうか?難しくて答えが出ない。
 嗚呼、こんな時に何でも話せたあの人が側にさえいてくれれば……。会いたくても会う事が出来ない。どれ程願っても祈っても叶う事はない。


 愛しい、いとおしい、大切な…………。
 たった一人だけの………………。


――――チリン

 風が吹いた瞬間に響いた鈴の(ruby:音:ね)に視線を移す。己の髪を結う紐の先に結ばれた鈴の音だった。決して濁る事が無いその音を聞いた刹那、無性に綱吉に会いたい気持ちが溢れ出てきた。
 特に話したい話題がすぐに口から出てくる訳ではない。今の気持ちを伝えようと思ってもいない。


 ただ会いたい、だけ…………。


「……………」

 無言で立ち上がり、しっかりと前を向く。手にしっかりと抱き抱えている竹刀袋を持ち直して。


 帰りたい、兄の元へ。大好きな大好きな綱吉の所へ。


 どんな言葉でもいい。話、したい。
 周りなど気にしないで。私達、兄妹。
 無言でぱたぱたと走りだし、石階段を転ばぬ様に下る。その動きに合わせてチリンチリンと鳴り響く鈴の音が、静寂を打ち破る。
 その(ruby:音:ね)は静寂と共に飛鳥の心をも打ち破っていて。


 まるで一つの唄の様に美しく鳴り響いていた。


 階段を下り切り、すぐに家へと右に曲がろうとした瞬間、道路を歩いていたらしい通行人にぶつかってしまった。
 勢いよく走っていた訳ではなく、振り向いた瞬間にぶつかったと言う事もあり、大事にはならなかった。

「ごめんなさい」

 ぶつかった事に対して相手の顔を確認する事もなく、すぐに深く頭を下げながら続けた。

「急いでいたのですみません」

 一分一秒でも早く戻りたい飛鳥は、早く相手の返答を頭を下げたまま待った。
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