【クロスオーバー夢小説】ソラのコ【REBORN×銀魂】
第4章 空2 崩れた日常
そんなに珍しい見目をしているとは思ってない。自分は普通だと思っているし、周りもその様な目で見てくれている。
そう…………普通、だと。
「…………お前が沢田飛鳥か?」
初対面であるにも関わらず、自分の名前を知っているこの赤ん坊に対し、飛鳥は不信感を抱かずにはいられなかった。
何処で名前を知ったのだろう。そう考えていた所、赤ん坊は言う。
「今日からこの家に家庭教師として来る事になったリボーンだ。沢田綱吉は何処にいる?」
ああ、家庭教師だから名前を知っていたのか。そう頭の片隅で思ったけれど、すぐに赤ん坊の言っている事の重大さに気が付いてついつい声が漏れた。
「……家庭教師?」
「そうだ。オレが沢田綱吉を一人前のマフィ……いや、男にしてやる」
何かを言いかけて止めたリボーンにますます不信感を感じながらも、奈々が選んだ家庭教師なのだ。家の中に入る事を拒否する権利はないので、飛鳥は無言で階段を指差した。
「サンキュ」
綱吉の居場所を知り、リボーンは当たり前の顔で家の中へと入り階段を上っていく。ひょいひょいと慣れた足取りで歩く姿はとてもではないが、赤ん坊とは思えない。
そもそも赤ん坊が一人でいる事もスーツを着ている事も、すらすら言葉を話せている事も、家庭教師をやっている事も、普通ならばありえない事だ。
本当に赤ん坊なのか疑ってしまう。
だがその姿を飛鳥は黙って見つめ、何も追求しなかった。何も言わない代わり、リボーンから視線を外す事はなかった。そもそも飛鳥の性格からしたら、家族以外は会話対象じゃないのだから仕方ない。
しかし今の飛鳥の視線は誰が見ても同じ事を感じる。
その瞳はリボーンの事を警戒している眼差し。
痛い位の視線を背中に浴びながら、リボーンは小さく呟いた。
「………………アイツが沢田綱吉の妹、か……」
その声が飛鳥に聞こえる事はけしてなかった。
暫くしてから綱吉の部屋から奈々が戻ってきた。その表情は驚きを隠せていなく、頬に手を当てながら言ってきた。
「青年実業家かと思ったらあんなに若い赤ちゃんだったなんて驚きね――」
驚いている点が人とずれているのだが、それが奈々の性格だから、と飛鳥は特に気に留めていなかった。
「アーちゃんは挨拶した?」
その問い掛けに飛鳥は素直に首を横に振った。