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【R18夢小説】手に入らないモノを求め【HQ/影山飛雄】

第24章 第二十一話 ヘイジョウシン


 ガタガタと玄関から音が響く。帰って来た両親が荷物を床にでも置いているのだろう。
 俺に抱き締められている池ヶ谷は状況を瞬時に理解して、カタカタと震えている。
 深呼吸をして心を落ち着かせてから返事をした。

「お帰り。思ったよりも帰ってくるの早いな」

 震える池ヶ谷から離れ、何時もと変わらぬ様に部屋を出て階段を降りていくと、靴をしまった母親が丁度脱衣所に向かっている所だった。

「あんまり酷い怪我じゃなかったし、あんた一人なのが心配でね。あー、もう洗濯物適当に投げ込まないて何時も言ってるでしょー?」
「そうだっけ?」
「あんた洗濯しないからそう言う事が言えるのよ。……って何その手首どうしたの?」

 洗濯機から顔を上げた母親が俺の手首を見て驚いた顔をした。うっかり包帯をするのを忘れてたと思いながら言う。

「自主練してて派手にこけた」
「馬鹿ねぇ」

 疑いもしない母親の言葉にムスッと眉間に皺を寄せてやる。どうせ馬鹿だよと言う視線付きで。

「本当にバレーだけなんだからあんたは。彼女の一人や二人作ってみせなさいよ」

 ケラケラと笑いながら言われた彼女と言う単語に、上にいる池ヶ谷の事を思い出しドキッとした。
 俺達の関係は間違ってもそう言う関係じゃないのだけれど……。

「ご飯何食べた?また適当にカップ麺で済ませたんじゃ…………ってカレー?飛雄あんたカレー作れたの?」

 リビングに入り、コンロの上に置かれている鍋を見つけて中身を見ると驚いた様子で言われた。当たり前だけど。
 料理なんて作らないし作れない。親の不在中はいつもコンビニで弁当やカップラーメンを買って済ませていた奴が手作り、になったら当然の反応だ。

「作ってもらったに決まってるだろ」
「あらやだ。何?彼女出来てたの?教えてよねー」

 興味津々に言われたのであくまでも普段の感じに言ってやる。少しでも怪しまれない様に。不自然さを出さない様に。

「ちげーよ、部活のマネージャー。勉強教えてもらった時に作ってくれたんだよ」
「なーんだ、残念。お母さん期待したのになぁー」

 口先を尖らせる母親を呆れ顔で見てやる。これが普段の俺だ。
 その相手は実は今俺の部屋で監禁していて、ついさっきまでセックスしていた、なんて言ったらぶっ倒れるだろうか。
 しかも避妊なしで妊娠してもらう為に子作りしていると告げたら。
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