【R18夢小説】手に入らないモノを求め【HQ/影山飛雄】
第19章 第十六話 ユガミ
声を上げて泣くなんて事はしないけれど、勝手につぅっと目頭から涙が伝い止まらない。その涙を見られないように抱き締めている池ヶ谷の表情も、決して見えない。
暗闇の中、互いに抱き締め抱き締められのまま時間だけが残酷に過ぎて行く。このまま時間が止まってしまえば、池ヶ谷を永遠に閉じ込めてしまう事が出来るのに。
もし本当に時間が止まってしまえば?池ヶ谷を今のまま永遠にしてしまえば。
脳内で悪魔の囁きが聞こえた気がした。
スッと腕の中から解放すると首輪が付けられた首に手を伸ばし、か細い首を掴みクッと力を入れる。
勿論首が絞まれば呼吸が出来なくなるに決まっている。突然の絞首に池ヶ谷が足をバタつかせ、首を絞める手首を必死に掴み、窒息に苦しみ悶えていた。
がりがりと俺の手を掻き毟り、出せない声を必死に上げようとして喉が鳴っている。
「……カ……ハ…………」
抵抗する力がどんどん弱くなっている。このまま……このまま死ねば池ヶ谷は俺だけの……………。
「……かげっ……やまく…………」
「 !!!! 」
俺の事を苗字で呼び、その池ヶ谷の声に正気に戻る。慌てて絞めていた手を離すと大量の酸素が入ったらしい。身体を丸めながら激しく咳き込んでいた。
「ゲホッゲホ……ガハッ……!」
青白い顔で咳き込む姿を見て、すぐに池ヶ谷を抱き締めて言う。
「ごめっ……ごめん!俺何やってっ……!」
「カハッ……ヒュッ…………」
「苦しかったよな !? 怖かったよな !? ごめん、伊織ごめんっ!」
必死に抱き締めている間も池ヶ谷の乱れた呼吸は中々落ち着かず、ガクガクと震え噎せ続けている。
「伊織っ大丈夫か伊織っ」
抱き締めていた力を弱め、腕の中で抱き寄せて様子を見る。激しく上下する胸に、酷く咳き込み口の端から涎を垂らしている。
青褪めた額からは大量の汗が噴き出していて、焦点がなかなか合わない。