【R18夢小説】手に入らないモノを求め【HQ/影山飛雄】
第16章 第十三話 ハキツヅケ
「ふ、服着ないと夏場だって風邪ひいちゃうよっ」
「あ――……」
面倒だと思いながら起き上がると適当なTシャツを着て、池ヶ谷にもぽいっと一枚投げてやる。驚いた様子でTシャツと俺を交互に何度も見るので言ってみる。
「あ、もしかしてさっきの包帯の方が良かったか?」
「あ、あれだけは絶対に嫌っ!」
思い出したらしく耳まで真っ赤にしながらぐぃっと大慌てで着て、Tシャツに書かれている文字を見て池ヶ谷の手がぴたっと止まった。
「それ部員合わせみたいで田中さんと西谷さんが作ってくれたヤツ。確か全員持ってる筈」
「……単細胞?」
池ヶ谷はぐぃっと裾を延ばしながら言っていて、鎖の上からTシャツを着ていて邪魔になってしまっていたので一旦首輪を取ってまた付け直しをして、そのまま抱き締めてぼすっと横になる。
「もうリクエスト禁止だからな。仮眠だ仮眠」
ぎゅうっと力強く逃げない様に抱き締めてやる。鎖があるから逃げらる訳がないのだけれど、どうしても不安になってしまう。目を覚ましたら何処にもいないと思ったら恐怖で震えてしまう。
がっしりと抱き締められていて、起き上がる事も逃げ出す事も勿論出来ないのでもそもそっと俺の胸の中に顔を埋め、池ヶ谷は小さく呟く。
「……お休みなさい」
「おう、お休み」
数回頭を撫でてやってからすぐに意識を手放してぐっすりと眠りに入ったのだった。
(2016,3,27 飛原櫻)