【R18夢小説】手に入らないモノを求め【HQ/影山飛雄】
第72章 another:last
影山君に妊娠している事を知られてしまってから三日が過ぎた。
影山君は妊婦である私の事を、ガラス細工を扱うかの様に繊細に扱ってくれていた。
優しく触れて、優しくキスをしてくれて、子宮の上を優しく撫でてくれて。
影山君に自分の本音も伝える事が出来、両思いの恋人にもなれた。
幸福でしかない。
妊娠してしまっているから、と影山君はセックスをしなくなってしまったけれど、それでも心が満たされているので思ったよりも平気だった。
挿入行為は出来ないけれど、影山君はずっとやりたかったと私にフェラをさせる様になって、変わらず私の身体には影山君の精液が注がれている。
「伊織」
「飛雄」
名前を呼ばれたので呼び返せば、後ろから優しく抱きしめられた。
妊娠初期症状で体温が高くなってしまっている私なので、体温を確かめながら頬擦りを影山君はしている様だった。
スリスリとしつつ、影山君の手は常に私の下腹部を撫でてやまない。
私の胎内に子供が居る事が本当に嬉しいのだと、影山君は全身で表してくれている。私も本当に嬉しい。
「なぁ伊織」
「何?」
再び呼ばれて尋ねると、影山君がスっと妊娠検査薬を取り出して言う。
「確認したい」
産院へ行く事が出来ないのだからエコー写真もなく、本当に妊娠している、とは本当は言えない。
ただ、妊娠検査薬で陽性反応で妊娠の可能性が高い事を確認出来るだけ。
でも、私は生理が来ていないし、何度も妊娠検査薬を使っていて、全て陽性反応が出ている。百パーセント妊娠しているで間違いは無い。
それでも私が何度も確認をした様に、影山君も確認したいと言うのだから、私はそれに応えるだけ。
「良いよ」
私が返事をすると影山君は私の事を抱き抱えてトイレへと連れて行かれる。
紐パンを解かれ便座に座らされれば、股の場所に検査薬を待機するのでそんなに尿意は無かったのだけれど放尿をして検査をする。
一分経てば妊娠検査薬にはくっきりと陽性反応の縦線がやっぱり浮かび上がってきて、影山君はその結果をうっとりと眺めている様だった。
もう三十本近く妊娠検査薬を使い、全てに陽性反応が出た。
「伊織の腹の中に俺の子が居るんだな」
検査薬の結果に満足したのか、影山君はそう呟くと私の後頭部を掴み寄せて、ディープキスをしてくる。