【R18夢小説】手に入らないモノを求め【HQ/影山飛雄】
第72章 another:last
くちゅくちゅと舌を絡ませ合い、酔いしれているとキスを終わりにした影山君は言う。
「俺の伊織。俺だけの伊織」
「飛雄」
ギュッと抱き合い、互いの存在を存分に確かめ合う。
まだ見た目では分からないのだけれど、これから私の身体は妊婦の身体へと変化をしていく。
こんな風に正面から抱き合えるのは後どれ位なのだろう、とまだ膨らみを持たないお腹を気にしてしまう。
あの、妊婦特有のボデっとした容姿に自分が成ってしまう事実は怖いけれど、それは影山君の子供が元気に無事育っていると言う証なので楽しみでもある。
「伊織が俺の子供腹の中で無事に育てさせてやるから」
「……うん」
私の身体を冷やしたくないのだけれど、影山君はやっぱり我慢出来ないのか私の事を脱がせ始めていた。
衣類から解放され、ぶるんと揺れる乳房に顔を埋め、乳首を影山君は見ていた。
母乳をまだ作らない私の乳房から子宮の場所まで頭を下げ、胎動もまだないのだけれど影山君は音を聞いているみたいだった。
「俺の子」
その言葉に私は影山君の事をそっと抱きしめた。
何時まで周りに気付かれない様に育てられるかは分からない。
でも、中絶が出来なくなるまで隠し通す事が出来れば、絶対に産む事が出来る。
周りにも親にも見付からない様に、二人でこれから私達の宝物(こども)を育てていく。
子供が子供を産む為の秘密の生活に、期待と不安が溢れずにはいられない。
でも大丈夫。二人ならばきっと……。
(2022,3,24 飛原櫻)