【R18夢小説】手に入らないモノを求め【HQ/影山飛雄】
第64章 another:10
山口君に電話をしたみたいで、携帯を切って影山君が言った。
「アイツらもやっぱり人数多過ぎて移動ではぐれたらしいから、危なくならない様に集まる事になった」
「うん」
頷いて移動しようとしたらパシッと手を掴まれた。
「……影山君?」
「……やっと二人になれたな、伊織」
「っ!」
名前で呼ばれて一瞬にして顔が赤く染まる。
今日は皆と一緒だから名前を呼ばれるなんて思ってなかったから。
二人っきりになるとも思っていなくて、完全に油断していた。
「あの……」
「少し二人だけでいよう」
そんな事を言われたら断れなくて、小さく頷いた。
ギュッと指を絡ませながら手を繋ぎ、人混みの中へと入る。
「……あれ?こっち反対……」
来た道を戻りだしたので、どうしたのかと影山君を見るとこちらは見ないで言う。
「さっき見てた屋台あっただろ。そこ行ってから集合場所向かう」
本当に些細な事で視線を送っていただけだったのに、影山君が気が付いていたと言う事実に耳まで赤くなってしまう。
人の流れに乗りながら屋台の前に着くと、そこには色々なアクセサリーが並べられていた。
「わぁ……」
レジンアクセサリーだったのかと声を漏らしながら商品を見ていく。
その中で目に付いたのが指輪だった。
半分木で半分レジンの少し流行りだしているウッドレジンだった。
「綺麗……」
手に取って見てみるとレジンの色は深い青色だった。それはまるで影山君の瞳の色で目が離せない。
私がじっと見ているのを見て、影山君はお店の人に声を掛けた。
「これって試着出来ますか?」
「指輪はサイズ合わないと買っても意味ないからか試して大丈夫だよ」
「ありがとうございます」
返答を聞くと影山君はスっと私の手を取り、左手の薬指に指輪を填めた。
「これ、下さい」
「かげ……」
慌てる私を横目にお店の人は言う。
「君達カップルだよね?おにーさんの方もサイズ合うのあったら二つで割引するよ」
その言葉に影山君は無言で指輪を取り、数個填めてから言った。
「じゃあコレとコレで」
「まいどありー」
さっと買い済ませてしまうと、影山君は私の手を引いて移動する。
人混みの中から少し離れた所に着くと立ち止まり、私の手に指輪を渡すとスっと左手を差し出してきた。
「あの……」
「ん」