【R18夢小説】手に入らないモノを求め【HQ/影山飛雄】
第64章 another:10
「景品、ぬいぐるみとかみたいだから二人が選んでいいよ。日向は妹さんのお土産にするみたいだけど、俺達は妹いないからさ」
成程、と思いながら景品を見る。
勝負をちゃんと見ていなかったのだけど、みんなそれなりにポイントはゲットしていたみたいだった。
「二人に声掛けても一つ余るからそれは清水先輩かな」
そうか、と清水先輩にも声をかけて三人で景品を選んだ。
「なんかお揃いって感じで照れちゃうなぁ」
「じゃあ三人でカバンにでも付けようか」
「いいですね、それ」
三人で仲良く景品を選び、カバンに付けるのに丁度良さそうなマスコットチェーンを選んだ。
清水先輩は猫、仁花ちゃんは兎、私は狼だ。
(影山君みたいな子で嬉しいな……)
落としたりしない様に、と巾着袋の中にしまうとゴミを捨ててきた田中先輩が戻ってきて言う。
「そろそろ花火上がる時間になるから移動しようぜ!ついでにトイレ行きたい奴は混む前に済ませちまえ」
花火スポットを知っている田中先輩の案内で移動を開始する。
トイレに行くグループと行かないグループで待っていて、私は待っているグループだったので、人の流れと屋台を眺めて待っていた。
ふと、一つの屋台が目に入った。
遠いので細かくは見えないけれど、ハンドメイドアクセサリーの屋台みたいだった。
ちょっと見てみたいな、と思ったけど時間が来てしまうので今回は縁がなかったと思って移動を再開する。
「急がないと人の流れすげぇ事になるから、はぐれない様に気を付けろよ」
田中先輩がそう注意をしてくれた時だった。うっかり下駄が脱げてしまって慌てて拾う。
すぐに履かないとはぐれてしまう、と顔を上げたら私の事を見てくれていたみたいで、影山君がすぐに来てくれていた。
「大丈夫か?」
「ご、ごめん。下駄が脱げちゃって」
「人増えてきたから早く行こう」
「うん」
急いで皆の後を追おうとした所、花火の場所確保が本格的に始まったみたいで、人の流れが激しくなっていた。
無理矢理進むのは危ないと判断したのか、影山君は私の手を引いて適当な所に避難すると携帯を取り出して電話をする。
「おう山口。ああ、池ヶ谷さんいたから今一緒だ。そっちは?あー……やっぱりバラけたか。急に人の波凄かったもんな。分かった、そこに集合だな」